開平望楼の特徴
自力村。左から葉生居虞(次楼・主楼)、振安楼、逸農廬、竹林楼。葉生居虞は1930年に華僑・方広寛氏が建てた虞で、レンガ・コンクリート造・4階建てで、外壁をモルタルで覆ってシンプルに仕上げている
1926年に建てられた、立圓・半立楼(半はさんずい付)の最上階部分。望楼の最上階は氏族の先祖である氏神を祀っていることが多い
高い建物を建てなくてはならない理由もあった。この辺りの村々はしばしば珠江の氾濫による洪水に襲われたため、水に流されない石やレンガ・コンクリート造の高層建築が好まれた。また、清朝末期には天下が乱れて盗賊が暗躍したため、襲撃を受けても籠城できる城砦のような堅牢な建物が必要とされた。銃弾を通さない厚い壁・小さく少ない窓・あちらこちらに空いた銃眼などの特徴は、盗賊対策のための工夫なのだ。
望楼を機能で分けると以下のようになる。
■居楼
錦江里、昇峰楼の見事なフォルム
■衆楼
村人、あるいは複数の氏族が協力して建てた望楼。役所・避難所・城砦・協同住宅などの機能を果たした。
■更楼
村の出入口や見通しのよい場所に建てられた見張りや城砦としての望楼。
20世紀中盤までにこのような望楼が3000棟ほど建設され、1833棟が現存している。世界遺産「開平の望楼群と村落」に登録されているのはそのうち三門里、自力村、馬降龍、錦江里の4村20棟だ。
以下では村ごとにその見所を紹介しよう。路線バスで回る方法については最終ページの「路線バスでの訪ね方」を参照のこと。
開平望楼群の構成資産 1. 三門里
青レンガの家並みが美しい三門里。村の入口付近にはこのような人工の溜め池があり、他の三方を林で囲っていることが多い
最古の望楼、迎龍楼。赤レンガで築かれた1・2階は16世紀に建設され、3階部分は1920年に青レンガで増築された
世界遺産に登録されているのは開平最古の望楼である迎龍楼で、他の家々が青レンガ製であるのに対して、ほとんどが赤レンガで築かれている。高さ約11mの3階建てで、壁は1m近い厚みを誇り、強力な城砦として機能した。四隅の角楼には銃眼が設けられており、建物の各側面の敵を迎撃できるようになっている。
三門里で望楼といえるのはこの1棟だけだが、青レンガの家並みもとても美しい。