和菓子が動く10年
以前ご紹介した「山滴る、甘党市2015」に見る新しい作り手や、「とらや」による「トラヤカフェ」にはじまる老舗発の新ブランドなど、ここ10数年、「和菓子」の世界が賑やかです。さらに、世代交代が進む老舗和菓子店店主の、チーム・イベントが盛り上がりを見せています。先駆けとなる日本橋三越本店の「本和菓衆(ほんわかしゅう)」に続く、新宿高島屋の「WAGASHI 和菓子老舗 若き匠たちの挑戦」、通称「ワカタク」とは?
「WAGASHI 和菓子老舗 若き匠たちの挑戦」=「ワカタク」
「ワカタク」は、当初異色だった「いちご大福」が今では定番人気になったように、新たなスタンダードを作るべく、和菓子店の若主人たちが結成したチーム。「ワカタク」イベント、「WAGASHI 和菓子老舗 若き匠たちの挑戦」は、2014年9月に第1回目を、盛況を受けて2015年4月に第2回目を開催し、さらに来る9月16日~22日に第3回目を控えています。
全国から集った9名の若主人がチームとなり、実演スペースを共有し、同じテーマの、あるいはコラボ商品を創作し、共に販売します。
第3回「WAGASHI 和菓子 若き匠たちの挑戦」。テーマは「栗」と「プレミアム」
新宿高島屋での第3回の「ワカタク」イベント会場は、「地下1階のメイン会場」と、「2階特設会場」に分かれます。まずメイン会場の地下1階では、今回のテーマ「プレミアム」と「栗」がお題の和菓子をメインに販売。席数は限られますが、イートインメニューも充実しています。9名の若主人とそれぞれのお菓子を少しだけご紹介しましょう。(以下50音順)<東京「青柳正家」3代目 須永友和氏>
東京「青柳正家」3代目須永友和さん。向島・花柳界の手土産に使われてきた同店のお菓子は凛とした美しさがあります。須永さんは、そんな伝統を大切にしながらも革新的な味も追求。
須永さんらしさを感じるプレミアムメニューは、タカシマヤのイタリア展担当バイヤーが推す、8年物のバルサミコ酢と胡桃入りの求肥「芳香餅」。
一方で、栗羊羹の名店、青柳正家らしさを感じるのは栗メニューの「恋こがれ」。栗羊羹の中に栗餡を入れて表面をキャラメリゼしたもの。栗尽くしです。
<石川「雅風堂」3代目 安田卓司氏>
石川「雅風堂」3代目安田卓司さん。和菓子文化の栄える石川県のお店らしく、日本の情景を映した和菓子が印象的です。
正にプレミアムな「ぶどう餅」。石川県が14年かけて開発した、一房が一万円近くするという、国内最大級の(1粒の直径31mm以上)最高級ぶどう「ルビーロマン」をまるごとひと粒餅生地で包み、フロストシュガーをかけたもの。宝石のようなぶどうのお菓子を1粒、いかがでしょう。
<静岡「巌邑堂」5代目 内田弘守氏>
静岡「巌邑堂」5代目内田弘守さん。海外進出の一歩として、まずはシンガポールをはじめ、アジア地域で和菓子を広めています。
内田さんらしさを感じるのは、プレミアムメニューの「種月餅」。クルミ・ピスタチオ・カシューナッツがぎっしり、さらにドライのクランベリーと国産ウイスキーも入ります。
日本では中秋の名月には月見団子を用意しますが、中華圏では月餅を贈ります。僭越ながら私、9/21(月)正午、2階特設会場にて内田さんとトークショーをさせて頂く予定です。MCは畑さん。「種月餅」や海外へ向けた和菓子についてもお話下さると思いますので、ぜひ聞きにいらしてください。
次ページでも、さらに和菓子とワカタクたちをご紹介します。