マンション物件選びのポイント/エコマンション

エネルギーを賢く使える最前線のエコマンション(2ページ目)

東日本大震災以降、節電意識の高まりとともに、省エネ・エコ設備や太陽光発電など創エネ設備の採用が進み、大規模物件を中心にスマート化が進んでいます。今回は今の時代の最先端をいくエコマンションをご紹介いたします。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

専有部のエコ設備 Low-Eガラスの採用

こちらのマンションでは、全住戸の全サッシにLow-Eガラスを採用しています。Low-Eガラスとは遮熱・断熱効果の高い窓ガラスで、窓からの熱の出入りを抑え、冷暖房効果を上げることができるため、光熱費の削減につながります。

全ての住戸の窓にLow-Eガラスを採用

全ての住戸の窓にLow-Eガラスを採用 (モデルルーム80A-HGタイプ)


Low-Eガラスの採用は年々増え続けており、2014(平成26)年の段階で新築戸建て住宅での採用率は70%強まで上がっています。しかしマンションでは戸建て住宅よりまだ採用率が低く、30%前後となっています(※)。そんな中、総数592戸の大規模マンション「パークシティ武蔵小杉 ザ ガーデン タワーズイースト」で全住戸に導入していることは、先進的な取り組みといえるでしょう。※「複層ガラス/Low-E複層ガラス普及率の推移」 板硝子協会 公表資料より

 

全熱交換型24時間換気システムの採用

2003年度に義務化され、それ以降に建てた住宅では必ず設置しなくてはいけなくなった24時間換気システムには、第一種・第二種・第三種と3種類の換気方法があります。マンションで採用が多いのは、第三種の「自然給気+機械排気」の組み合わせです。しかしこちらのマンションでは、給排気いずれも機械制御で行う第一種換気システムを採用しています。第一種換気システムのメリットは「確実に換気ができること」。高気密・高断熱の住宅と相性のよい方法です。

住戸内のダウンライトにLED照明を採用

住戸内のダウンライトにLED照明を採用

また、全熱交換器を用いて行うことで、これまで換気を行う際に発生していたエネルギーロスを小さく抑えることができます。ぜひ「全熱交換器が入っているマンションは省エネ効果が高い」と覚えておいてください。

このほかにも専有部のダウンライトに寿命の長いLED照明、玄関に人感センサー照明、保温性の高い魔法瓶浴槽用、節水トイレなど、一通りの省エネ・エコ設備を揃えています。

 

共用部のくふう 自然エネルギーの活用

続いてマンション共用部の取り組みを見てみましょう。 こちらのマンションでは、自然エネルギーの中でも太陽光発電に比べまだまだなじみが少ない地中熱エネルギーの活用の考え方を、マンション共用部の空調の一部に利用しています。

具体的には、マンションの免震装置が設置されている地下空間は、外気に比べ1年を通して比較的安定した温度となるため、その地中熱を利用してクールヒートトレンチとして利用し、夏には比較的冷たい空気を、冬には温かい空気を、地下の機械室や1、2階のエントランスホールなどに送りこんでいます。

 

太陽光発電の利用

敷地周辺の街灯にソーラーパネル付きの照明を配置し、昼間の太陽光を夜間の照明の電力に使用しています。また共用部に太陽光パネルも設置、発電した電気は共用部に使用するほか、共用部に設置した蓄電池に貯めておき、非常時の電源として使用します。

マンションの低層部分にある商業施設の屋根には太陽光発電を設置

マンションの低層部分にある商業施設の屋根に太陽光発電を設置


 

カーシェアリング

交通の利便性が高く、生活に必要な施設が身近にそろっている場所に住まうのであれば「車を持たない」という選択もアリでしょう。こちらのマンションもその条件を満たしておりカーシェアリングを導入しています。マンション共用の車を数台保有し「必要なときにだけ乗る」という考えは、CO2の削減に貢献します。また、レンタサイクルも予定されています。

 

究極の省エネ ロングライフ仕様

これぞ究極の省エネ、省資源といえることに、建物の長寿化があります。こちらの物件は住宅性能評価の劣化対策等級で最高の「3」を取得。コンクリートの品質や強度を確保し、75~90年程度、3世代にわたり長持ちする仕様で建てられています。建物が長持ちすれば、マンションを資産として子どもや孫に引き継ぐことができます。また建て替えや取り壊しによる産業廃棄物やCO2の排出を抑え、環境負荷を低減します。

 

日々の暮らしの「質」を向上

今回注目した「マンションの省エネ性能・エコ設備」は、これからマンション選びをする人にとって例えば立地、間取り、価格などに比べ、わかりにくい部分かもしれません。しかし、それらは快適性をはじめとする日々の暮らしの質に影響を与え、月々かかる光熱費を削減するなど、マンション購入者にさまざまなメリットをもたらします。

また、メリットを享受するだけではなく、省エネに配慮したマンションを選び、そこで省エネ・エコな暮らしを実践することで、住まい手も地球環境保護に貢献することができるでしょう。

【関連記事】
取材レポート:パークシティ武蔵小杉 ザ ガーデン(分譲マンションレポート)


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