パッシブデザインとは
典型的な田の字プランの例
一般的に、多くのマンション住戸には「窓」の位置に制約があります。例えば最もポピュラーな外廊下型の田の字プランでは、角住戸以外はバルコニー側と外廊下側にしか窓を設けることができません。しかも住戸の内部は田の字型に室が区切られており、バルコニー側から外廊下側へと風が抜けるための障害がたくさんあるのが現状です。
それらを解消するためにこのマンションが採用したパッシブデザインをご紹介しましょう。
小窓で風の出口をつくる
【写真1】玄関扉の脇に設けられた通風のための小窓
この小窓を開けることで、バルコニー側から外廊下側まで風の道ができ、住戸内を風が通り抜けやすくなります。
しかし、せっかく窓をつけても開放しておかなければ意味がありません。そこで長時間開け放しにできるように、外廊下側には面格子を設け、防犯に配慮しています。暑い夜にこの小窓を開けておけば、涼しい風が入ってきて寝苦しさを解消してくれそうです。
ウォークスルークロゼットの採用
ウオークスルークロゼットとは2方向以上に出入りができる大きなクロゼットのことで、両方の扉を開けることで風の通りがよくなったり、生活動線が短くなるなどのメリットがあります【写真2】。そのようなことから最近ではセレクトプランとしてウォークスルークロゼットのある間取りを提案するマンションも見かけるようになりました。プレミスト高尾サクラシティでも一部の住戸に標準で採用。このようなウォークスルークロゼットの採用は、間取りのくふうで空気の流れを作るひとつの手法と言えます。
好きなところを開けられるフレキシブルワイドサッシ
間口いっぱいをリビング・ダイニングにした横長リビングの間取りでは、太陽光を取り込むために間口いっぱいのワイドサッシを採用するケースがほとんどです。しかし、そのワイドサッシの多くは中央がFIXで固定され、両脇が開閉可能など開口できる場所が決められています。しかし、本当は食事をするときはダイニング側を、ソファーに座っているときはリビング側の窓を開けて風を感じたいですよね。そこでこちらの物件では、そんな希望も叶えられるようにと、どの部分でも開口できるフレキシブルワイドサッシを採用しています【写真3】。
通風ガラリのあるリビングドア
【写真4】風を通せる可動ルーバー付きリビングドアを採用
そこで、扉を閉めた時でも風は通るように、全住戸のリビング扉には可動ルーバー付きのドアを採用しています【写真4】。
可動ルーバーなので、空気を通したいとき、閉め切りたいときそれぞれに対応可能です。マンションのリビングドアでは今まであまり見たことのないアイデアだと思います。
通風と採光に配慮したバルコニー手すり
バルコニーの手すりは、通風に配慮した「ルーバー手すり」と採光を取り入れるための「ガラス手すり」を間口の半分づつ採用しました【写真5】。通風を得られるルーバー手すりの内側には洗濯物が干せるようになっており、一方、光を通し明るいガラス手すりは主にリビングに面して設けられます。
バルコニーの奥行きは広く、ガーデニングが楽しめるように全てのバルコニーにはスロップシンクが設置されています。このマンションのひとつのテーマでもある自然との共生を身近に感じることができるでしょう。
次のページでパッシブだけじゃない!それ以外の省エネ設備を見てみましょう。