短時間正社員とは?
短時間勤務制度は、適切に運用できるかということがポイントです
短時間正社員は、期間の定めがない無期契約であり、賞与、退職金も正社員と同様に支給されます。これは、金額が同じという意味ではなく、計算方法が正社員と同じという意味です。
給料も、フルタイムの正社員が30万円なら、労働時間が半分の短時間正社員は15万円というように、算定基準は同様となります。また、短時間正社員は社会保険にも加入します。よく正社員の3/4の労働時間といった基準を耳にしますが、これはあくまでパートの話です。正社員として雇用している以上、短時間であっても社会保険の加入義務はあるのです。
短時間正社員の活用
短時間正社員を活用する場面として最も考えられるケースは、育児や介護などの事情でフルタイムで働けなくなる正社員のためでしょう。短時間正社員制度の導入で柔軟に労働時間を調整できるため、育児や介護との両立の助けとなるだけでなく、一定期間職場を離れた結果、戻ろうとしてもポジションがなくなっていたというようなこともなくなります。また、仕事以外にもボランティアやサークル活動などさまざまな活動に従事したり、自己啓発したりと会社以外に時間を使いたいという人も増えてきています。こうしたニーズへの一つの対応の方法としても、短時間正社員の制度は活用できる可能性があります。福利厚生の一環として一定の条件のもと、選択制で導入するといったことは考えられます。このケースは、初めから短時間正社員として雇用する場合に特に有用です。
ほかにも、病気などでフルタイムで働けなくなった人への対応の一つとして導入したり、継続雇用制度のもとで対象者の選択肢として導入したりとケースによって活用方法はさまざまです。
短時間正社員制度の導入にあたっての検討事項
短時間正社員制度は、労働者にとっては選択肢が増えるという意味で特に不利な点はありませんが、会社にとっては業務内容の再編や、どのくらいの期間を認めるべきかなど検討すべきことはいろいろあります。特に、育児や介護で一時的に短時間正社員となるケースについては、フルタイムへの復帰が前提となります。例えば、6時間の短時間正社員となる場合、それまで8時間勤務だった分が6時間となるため、残り2時間分の業務をどのように対応するかといった課題があります。既存の社員に一時的に引き継ぐ場合は、業務量や残業などの労働時間に配慮しなければなりません。また、人員補充する場合は、業務の総量が変わらなければ、フルタイムに復帰するまでの有期契約となるでしょうから、そうしたスポット案件に対応できる派遣会社を利用するなどの対応が必要です。
法律上は、3歳未満の子を養育するための原則1日6時間の短時間勤務制度 の導入が義務付けられています。この規定に合わせて、育児の場合は短時間正社員制度も、子が3歳未満の場合で6時間といった制度が適切でしょう。また、介護の場合は、介護休業の規定に合わせて93日以上とする必要があります。
この他にも短時間正社員という理由で、給料や人事評価で差をつけることもしてはいけません。フルタイムと短時間正社員の給料の差は、あくまでノーワーク・ノーペイ、つまり働いていない時間だから給料は払わなくてよいという原則があるためです。
短時間正社員制度を導入するかどうかは会社の自由です。各社の実情に合わせて導入するかどうかを決めることになりますが、正社員の定着率を上げる一助になるという点では導入するメリットは大きいといえます。
余談ですが、こうした短時間正社員制度の導入にあたっては、助成金が支給される場合があります。検討の末、導入を決めた場合には、せっかくなので助成金の受給も検討されてはどうでしょうか。ちなみに受給にあたっては、お近くのハローワークに相談窓口があります。