コンチネンタルGT史上、最も楽しめたロードカー
GT3-R、と聞いて、とんでもなくスパルタンなモデルを期待される方がいらっしゃったとすれば、ベントレーに代わって謝罪しておこう。もっとも、その名に相応しいかどうかを別にすると、このモデルがベントレーコンチネンタルGT史上、ドライブしていて最も楽しめたロードカーであったことは、間違いない。
RはレーシングのRではなく、ロードのRというわけか。GT3のイメージを受け継いだロードカー。そう解釈すれば、おのずとキャラクターの想像はつく。何といっても、ベントレーなのである。乗り手が腰を抜かしてしまうほど、硬派に徹したモデルをロードカーとしてリリースするはずもない。ポルシェの911GT3ですら、快適に転がせるという、この時代に!
とはいえ、見た目には、随分と派手なクルマだ。GT3モデルほど巨大なものではないにしろ、取って付けたようなリアウィングなど、優雅なクーペボディをくるむエアロデバイスの類も、ベントレーブランドとのミスマッチ感をいっそう増幅していて、かえって面白い。カラーリングはGTG3ワークスカーのデビュー時にインスピレーションを得たもの。
インテリアも、負けずと派手。カーボンやスエード調表皮によるマットなブラック基調の雰囲気に、エクステリアと同じく鮮やかなグリーンを効果的に配した。特に、ダッシュボードまわりでは、立体造形のシャドー部分に緑のレザーハイドを貼りめぐらせていて、硬派なのに洒落ている。キルティングの入ったバケットシートも、スポーツ×ラグジュアリーの極限といった様相で、いかにもベントレーのスポーツモデルらしい。
GT3からのインスピレーションモデル、というからには、エンジンはV8でなければならない。パワースペックと最高速ではW12を積むGTスピードに及ばなかったけれども、580psへのパワーアップとおよそ100kgのダイエット、そして8ATのライトチューニングによって、0→100km/h加速で3.8秒と、ベントレー最速をマーク。4秒を切る性能は、立派に、スーパーカースペックである。