フレンチ/東京のレストラン

代々木上原に潜むモダンフレンチ「ラ・ファソン古賀」

代々木上原の「ラ・ファソン 古賀」。京橋の名店「シェ・イノ」の血を引くクラシックの王道を歩む古賀シェフ。軽やかさと重厚さの見事なバランスは現代のフランス料理の中では不思議と新鮮だ。ロケーションも申し分なく、コストパフォーマンスも抜群。カウンターが魅力的。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

正統派クラシックシェフの現代風フレンチを

代々木上原と言えば煌びやかなネオンのない、静かで品のよい街というイメージか。20年以上続くビストロやバー、和食店などに加え新しいタイプのセンスのいいショップやレストランも街を彩る。

世間はお盆休みの中、一軒のレストランで食事をした。以前、同じ代々木上原の別の場所でコムシェヴーという名でフランス料理店を営み、その後銀座でカレー店のプロデュースをされていた古賀義英氏のレストランだ。自身の名を刻んだところに、ここに生涯落ち着くぞ、という穏やかな気概を感じることができるのは、これまでの歩みを緩やかに見てきたからか。
代々木上原

坂の上にある白い壁が目印だ。

ドアを開けるとカウンターとオープンキッチンが広がる。左手奥からダイニングにつながり、フロアは2つに分けられているところがなんとも心地よい。特にカウンターは魅力だ。

シェフの立ち位置の前に一人で落ち着いたせいか、シェフがいろいろと話しかけて下さる。シェ・イノ時代の話、仲のいい料理人の話や素材の話から景気の話まで続き、ワインの酔いも回りなかなか心地良い時間が過ぎていく。

3000円のランチコースは十分に魅力的だ。正確に和えられたシーフードと柑橘系のサラダは夏を優しく感じさせるもの。爽やかさと歯ごたえある食感がソーヴィニオンブランにはまるのなんの。つい、おかわり!昼のワインがなんと心地よいか。
代々木上原

爽やかなヴィネグレットとワインが見事にマリアージュ

冷えた石の上に乗るバターやあたたかなパンも申し分ない。

メインはポークソテー。マスタードがやや苦手なので、抜いてもらう。重みあるクラシックなソースは赤ワインを求めてくる。ボルドーのワインは期待通りの働きでもう一つのソースとなり気持ちと身体を酔わせる。
代々木上原

煮詰められた濃厚なクラシカルソースにシェフのこだわりが見える

フタッフも気さくで、コンビネーションもよさそうだ。「ちゃんと教えるには僕の隣にいなくちゃね」と女性キュイジニエを指導する様子にベテランシェフの愛情を垣間見る。調理工程が見えるのも楽しい。顧客とオーナーシェフの目の前で鍛えられる姿が見れるのもカウンターならではの醍醐味か。

13時位になると常連のゲストが一人でやってきて世間話に花が咲く。一人で出掛けても仲間内でもゆるゆるとした居心地で楽しめるレストランであることは間違いない。今度は夜にしっかりといただくことにしよう。

ラ・ファソン 古賀(代々木上原)
東京都渋谷区上原1-32-5 ロイヤルテラス1F
カウンター7席 テーブル16席
小田急・東京メトロ代々木上原駅 南口より徒歩2分
Tel 03-5452-8033 / Fax 03-5452-8030
営業時間:
ランチ   11:30~14:30(LO.13:30)
ディナー 18:00~23:00(LO.22:00)
定休日:水曜日
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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