殺人大学生と凶暴な刑事の嫌なヤツ対決
『DEATH NOTE デスノート』(2006年度作品)少年ジャンプの人気同名漫画の実写映画化。そのノートに名前を書かれた人物は死ぬというデスノートを手に入れた夜神月(藤原竜也)と、月の犯罪を追いかける探偵L(松山ケンイチ)の頭脳バトルを描いたサスペンス。
この映画の嫌なヤツはやはり夜神月でしょう。月は天才なので、平凡な毎日がつまらない、物足りない。そこにやってきたのがデスノート。法で裁けない犯罪者を自分が殺していくことで、神になったと思い込むのです。誰も自分を追い詰めることができないし、近づいたらデスノートで殺してしまえばいいのですから。自分自身が犯罪者に落ちていることに気付かない月……。嫌なヤツほど自分を顧みず、絶対だと思い込みますが、月はその典型でしょう。
藤原竜也はベビーフェイスなので、デスノートを手に入れて狂気に走る月の鋭利なイメージが緩和されて親しみやすい月になっているような気がしますが、変人天才探偵L役の松山ケンイチは原作にかなり寄せて好演しています。
監督:金子修介 出演:藤原竜也、松山ケンイチ、瀬戸朝香、香椎由宇、細川茂樹、戸田恵梨香
『渇き。』(2014年度作品)
障害沙汰を起こして離婚した元刑事(役所広司)の娘(小松菜奈)が失踪。娘を探すうちに優等生だった彼女の裏の顔を知ることになり、元刑事はショックのあまり暴走していく。深町秋生原作「果てしなき渇き」の映画化。
元刑事はだらしなく暴力的な嫌なヤツなのですが、この男だけでなく、この映画に出てくる人はみんな嫌な奴ばかり。元刑事が突出して嫌なヤツというわけではないというのがスゴイ。“嫌なヤツ祭り”みたいな映画なのです。両親ともに問題ありなので、娘も問題ある少女に育ったのがよくわかる!
父親の嫌さは身勝手な横暴さですが、娘の嫌さは思春期の難しさも手伝って謎めいているのが余計不気味です。ちなみに主人公の後輩刑事(妻夫木聡)もニヤニヤしながら残酷なことをするような、かなり壊れた嫌なヤツぶりで、こんな刑事いてもいいのか?と思うほど。正直リアリティはありませんが、嫌なヤツが登場する数ではトップクラスかもしれません。
監督:中島哲也 出演:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ、橋本愛ほか
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