性的に嫌なヤツと性格が最悪なヤツ
『トーク・トゥ・ハー』(2002年度公開)
事故で意識不明の重体になったアリシア(レオノール・ワトリング)の世話をする看護師ベニグノ(ハビエル・カマラ)。実は彼ずっと彼女に恋をしていた……。
究極の純愛と見る人もいるけれど、冷静に見ればベニグノは犯罪者です。いわゆる性格が悪いというのではなく、好きな女が入院している病院の看護師になり、意識不明なのをいいことに、下の世話から何もかもやってあげるというのが、もう気持ち悪い。アリシアを自分の想い通りになる人形だと思っているような。
愛を語り、やさしく振舞うけれど、愛情を一方的に彼女の体に押し付けているだけで、やっていることは最悪です。同時進行するもうひとつの愛情物語もあるのですが、ベニグノのエピソードが強烈過ぎてかすんでしまいます。
監督:ペドロ・アルモドバル 出演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス、ジェラルディン・チャップリンほか
『死霊高校』(2015年度作品)
演劇部の発表会前にセットを壊して中止にしてやろうと校内に忍び込んだ男女高校生。しかし、壊したはずの舞台はいつの間にか元通りに。校内に自分たち以外に誰かがいる? そしてひとり、またひとりと首を絞められて殺されていく……。発表会の演目「絞首刑」のように。
ストーリーは典型的なホラー映画ですが、舞台を壊そうと計画する主犯格の高校生ライアン(ライアン・シューズ)がとにかく嫌なヤツで。友人たちをけしかけて演劇部の舞台ぶっ壊しを決行するのです。嫌なヤツ特集の中ではいちばん小物かと思われますが、変なところズル賢く、相手を丸め込めるのがうまいから余計腹が立つ! 校内で謎の人物(霊?)が次々と学生たちを獲物にしていく最中「早くライアンも襲ってくれればいいのに」「もっと怖い目にあってしまえ!」と思わずにいられない。でも、ちゃんと嫌なヤツに制裁が下されるので、スカっとします。
監督:クリス・ロフィング、トラヴィス・クラフ 出演:リース・ミシュラー、ファイファー・ブラウン、ライアン・シューズほか
2015年8月22日公開
©2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
Courtesy of Warner Bros. Pictures