IoTの「モノ」とはなにか
スーパーで今晩の献立を考えようとした時、「冷蔵庫に何が残ってたっけ」と思い出せなければ、スマホ経由で冷蔵庫にアクセス。冷蔵庫内の小型カメラで食材をスマホに表示させれば献立に足りないものだけをスーパーで買って料理を作ることができます。彼女が急に部屋に遊びにくることになったので、家に着く前にロボット掃除家を動かし、帰った時にちょうど適温になるよう冷暖房をネット経由で操作することもできます。これらのネット家電はインターネット接続された「モノ」ですのでIoTになります。
最近のIoTはもう少し、幅広くなっていて自動車のスピードメーターもモノです。どこで加減速したかスピードはどれぐらい出ているかネットワークを通じて情報を集めれば、渋滞が発生しそうなところがわかります。集めた情報をもとに信号の時間を操作することで渋滞時間を減らせ社会的損失を減少できます。
アメリカのディズニーランドでは紙のチケットをなくしてリストバンド型のマジックバンドの導入が始まっています。マジックバンドの中にはRFID(ICタグ)が入っており、ホテルの部屋のチェックインからアミューズメントパークの入場改札、アトラクションの予約まで利用できます。
ディズニーはマジックバンドをつけたゲストがパーク内でどう歩いたかが分析できますので、混みそうなアトラクションに適切にスタッフを配置するなどリアルタイムに改善できます。また流れの滞留を見つけたら、トイレの数が足りない、案内が分かりにくいのではないかとサービス向上のヒントを得ることができます。
IoTで今は存在しない職業がどんどん登場
20年先、ITの発展で今ある仕事の半分はなくなると予想されています。反対に小学校に入学した児童が大学を出るころには今は存在しない職業に6割以上が就くだろうという予想も出ています。博多華丸・大吉の漫才で、「ユーチューバーになりたい」というセリフがありますが、ユーチューバーのように動画で食べていく職業やカリスマブロガーなんて職業を想像することもできませんでした。
iPhoneやアンドロイドが登場したのは2007年。まだ10年も経っていないのに電車で新聞や本を読む姿をすっかり見かけなくなってしまいました。スマホゲームを作る専業メーカーなんて10年前は考えられませんでした。ビッグデータのデータ解析ができるデータサイエンティストという新しい職業も生まれています。
みずほ銀行や三井住友銀行ではコールセンターに人工知能の導入を初めています。クレーム処理対応は残りますが、コールセンターの受付業務はコンピュータにだんだんと置き換わっていくでしょう。
反対にペッパーやマツコロイドのようなヒューマロイドに人間との対応の仕方を教えるインストラクターの仕事が生まれるかもしれません。そのうち就職面接も第一段階は人工知能になるかもしれませんので、人工知能の面接をいかに突破するかといった講座が生まれるかもしれません。
IoTではセキュリティが重要
IoTが進むことで、世の中はますます便利になりますが、負の部分もあります。インターネットにモノが接続できるということは、ネット接続されたサーバーやパソコンのようにサイバー攻撃をうけることになります。アメリカではハッカーがネットワーク経由で運転中のクライスラーに侵入し、外からエンジンを切ったり、ワイパーを動かしたり、爆音で音楽を鳴らしたりする、なかなかこわい動画が公開されました。
ハッキングされたクライスラーでは車両に搭載された無線通信ソフトウェアを更新するため140万台のリコールを行っています。ドローンやネット接続されたテレビなどの脆弱性が指摘されており、テロに使われることも危惧されています。
IoTの土台になったのがIPv6
少し前までモノのネット接続自体がムリでした。機器をインターネット接続するには世界に一つだけの住所が必要で、これがIPアドレス。今まで最大約42億台の機器が接続されるよう決められていました。もともとインターネット接続するには高いパソコン(昔は1台100万円ほどしました)が必要で、パソコンがいくら増えても家庭で1台つながれば十分と考えていました。
ところが各自がスマホを持つ時代になり家電や自動車までインターネットにつなげだすと、一人でいくつものIPアドレスが必要になります。とても42億では足りません。そこで数を大幅に増やせられるようIPv6という仕組みが考え出され、既に運用がはじまっています。IoTでモノをインターネット接続できるのは、このIPv6のおかげです。
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