イタリア/ナポリ

最古の現役オペラハウス! ナポリのサン・カルロ劇場

ナポリが誇るサン・カルロ劇場は、世界最古の現役オペラハウス。ナポリ派オペラがヨーロッパを席巻した18世紀に創設、ナポリ王国の黄金期を今に伝える豪華絢爛な建築美で、ナポリに来たらぜひとも訪れるべきスポットです。

河村 英和

執筆者:河村 英和

イタリアガイド

世界最古の現役オペラハウス!

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夜のしじまに浮かぶサン・カルロ劇場のファサード (c)Ewa Kawamura


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サン・カルロ劇場の内部 (c)Ewa Kawamura

イタリア3大歌劇場といえば、ミラノのスカラ座、ヴェネツィアのフェニーチェ座、ナポリのサン・カルロ座。そのなかでも最も古く、かつ世界最古の現役オペラハウスが、ナポリの王宮に隣接するサン・カルロ劇場です。創設は1737年。18世紀は「ナポリ派」オペラがヨーロッパ中を席巻。その本拠地ナポリで建設されたこの劇場は、当時ナポリ王国を支配していたブルボン家出身の王カルロ7世(のち3世)の名にあやかり、同名の聖人名から、サン・カルロ劇場と命名されました。

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サン・カルロ劇場の「王の桟敷席」 (c)Ewa Kawamura

建物の設計は、宮廷建築家のカネヴァーリとメドラーノが担当。美術館で有名なカポディモンテの王宮もこの二人の共同設計でしたが、1816年に火災で焼失したので、現在の劇場は、その翌年に新古典主義の建築家アントニオ・ニッコリーニによって再建されたもの。内部は馬蹄形で、5層の桟敷席と最上階1層のバルコニー、平土間席から成っています。舞台を真正面から見える位置には王専用の桟敷席があり、王国の栄光と威厳を感じさせられます。

ナポリを代表する新古典主義建築のひとつ

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サン・カルロ劇場の天井画 (c)Ewa Kawamura


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桟敷席のバルコニー装飾 (c)Ewa Kawamura

サン・カルロ劇場の建物は、当時流行していた新古典主義様式 。ファサードデザインは2層に分けられていて、1層目はトスカーナ風の切石積みで上部に一連の古代風レリーフ装飾。2層目はイオニア式の列柱が連なり、両端の壁面には当時のイタリアを代表する劇作家(左端に:アルフィエーリ、メタスタジオ、ゴルドーニ)とナポリ派のオペラ作曲家(右端に:ヨメッリ、ペルゴレージ、ピッチンニ)の名前が刻まれています。そしてファサードの頂点に立つ群像の中心人物は、ナポリを擬人化した女性像パルテノペで、古典・神話的な雰囲気をさらに盛り立てます。

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舞台上部中央を飾るブルボン家の紋章 (c)Ewa Kawamura

もちろん内部も新古典主義様式で、天井画は神話からのモチーフ。音楽と詩の神アポロンが、芸術の女神ミネルヴァに偉大な詩人たちを紹介する場面を、ナポリで活躍する画家カンマラーノ兄弟が描きました。桟敷席のバルコニーの手摺をはじめ、至るところに古典的なレリーフ装飾が施され、舞台上部には巨大なブルボン家の紋章が鎮座しています。


サン・カルロ劇場のレパートリーは?

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サン・カルロ劇場の内部 (c)Ewa Kawamura
 

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カーテンコールもオペラ鑑賞の楽しみの一つ (c)Ewa Kawamura

サン・カルロ劇場で初演された有名オペラ作品は少なくありません。たとえばロッシーニの『エジプトのモーゼ』(1818年)や『湖上の美人』(1819年)、ドニゼッティの『ランメルモールのルチア』(1835年)など、とくにこの二人の作曲家の作品の多くがここで初演されました。現在のレパートリー(9月から7月まででワンシーズン)は、イタリアオペラ中心で、毎年ヴェルディの主要作品から一つ以上、プッチーニ、ロッシーニ、ドニゼッティのいずれから少なくとも1本、外国語オペラが1-2本といった傾向です。バレエ作品も2本ほど上演され、そのうちの一つは、年末年始の恒例行事のクリスマスに因んだ『くるみ割り人形』となっています。

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18世紀ナポリ派オペラの演目は、王宮内小劇場が会場となることが多い (c)Ewa Kawamura

さらに年に1~2演目ほど、忘れ去られた18世紀ナポリ派オペラの復活上演がありますが、会場はサン・カルロ劇場ではなく、王宮内の小劇場が使用されることが多いです。

 
<DATA>
Teatro di San Carlo(サン・カルロ劇場)
住所: Via San Carlo, 98, 80132 Napoli
TEL:+39 081 797 2111
※ナポリ滞在中に公演日がなくても、ガイドツアー(6ユーロ)を利用すれば内部の見学は毎日可能です。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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