本当に安心して食べられるものを提供できる店でありたい
人気のkomorebi食パン
齊木さんが最初に出会った北海道十勝の前田農産の「春よ恋」は「komorebi食パン」と「まるパン」に使われています。「噛むと、うまいうまい」齊木さんは笑います。「北海道に行くと、もっともっと小麦のことを知りたくなる。農家の仕事や、肥料のこと、農薬の話も聞けます。北海道の小麦は甘味があって味が濃いんです。バゲットも甘く感じる」。
甘味、と書いてうまみ、とも読むように、十勝産「ホクシン」の石臼挽きの小麦を使用したバゲットは旨みたっぷり。内相には美しい気泡が見られます。
komorebiバゲット
やさしい表情のまるパン
「今、使っている小麦は約12種類。それぞれの素材の持ち味を重視しているので、特長を損なわないように焼きたい。基本は低速ミキシングで、一次発酵をとらないパンもあります。発酵から得られる旨みもありますが、それは粉のおいしさとは違います。粉のおいしさのために、極少量のセミドライイーストとルヴァンリキッドで、発酵というより熟成させるという感じでしょうか」。
クロックムッシュ
どこかほっとする味のクロックムッシュも、ホワイトソースやゴーダチーズ、ロースハムとごまパンの相性がいい。ひと息に食べてしまい、おいしかったと伝えると「これもね、ただのごまパンのようなんですけど、本当においしいんですよ」。そして齊木さんは、大好きなものについて語る人ならではの笑顔を見せてくれました。
ツナサンドのトマトトースト
大好きといえば、独立のときにすっぱりとやめたサーフィンとパンには共通点がありました。それは、自然と接する感じ。そして、命をかけられる、ということ。
齊木俊雄さん、久子さん。二人でパンを焼いている。
最後に、齊木さんは言いました。
「本当においしいものをつくる生産者が支持され、本当に安心して食べられるものを提供する店が増えてほしい。国産小麦の状況はTTPの影響を受け、大変厳しいものになっていきそうですが、北海道の小麦で作ったおいしいパンを食べ続けてもらうことで、生産者を少しでも支えていきたいです」。
一つのパンを選択することは、自分や家族が安心しておいしく食べられることに繋がるとともに、その向こうで働く人たちを支持することにも繋がっていく。ほっとするような温かいパンを食べた帰り道、そんなことを考えていました。
PANYA komorebi
■PANYA komorebi(ぱんや こもれび)
住所:杉並区永福3-56-29
電話:03-6379-1351
営業時間 10:30~19:00(17時頃に売切れることも)
月曜定休(木曜不定休)