公開企業でも「社長の報酬」を決めるのは「社長」!?
株式を公開している企業でも、報酬の決め方は同じです。ただし株式を公開している会社は、株式を公開することで公の存在となり、また社長一族だけでなく不特定多数の株主がオーナーとなるので、報酬の決め方にも透明性が求められます。そのため大企業の中には、個々の役員の報酬を決めるために、取締役会の中に報酬委員会というものを設置して、経営の監督機能(コーポレートガバナンス)を強化している会社もあります。社長・役員の報酬は、本来はどれだけ会社の業績を上げ、どれだけ企業価値を向上させて株主に報いたかに対して支払われるものです。特に最近は「もの言う株主」が経営陣に対して説明責任を求めてくるので、お手盛りで自らの報酬を決めることはできません。明確な報酬基準が必要なのです。
日産のゴーン社長の高額報酬には、株主からも不満が出ました。日産の役員11人全員の報酬総額の7割強が、ゴーン社長1人の報酬だったことも影響しました。
日本取締役会協会では、経営者報酬ガイドラインを作成し公表しています。これによると、日本の経営者の報酬は国際的に見ても低く、かつ総報酬額に占める固定報酬の割合が高いため、業績連動報酬の割合を高めていくべきであると提言しています。
固定報酬とは業績とは無関係に支払われる基本報酬のことです。日本では固定報酬の割合が6割程度を占めています。業績連動報酬が2割強、残りがストックオプションなどの長期インセンティブです。
業績連動報酬は、文字通り業績に連動したものです。この割合が低いと社長・役員の業績貢献が報酬額に適切に反映されません。今後の課題になりそうですね。
なお社長・役員報酬額の決定に関しては、優秀な人材の確保と流出防止という視点も欠かせません。グローバルな報酬水準に合わせなければ、競合企業に社長・役員を奪われてしまう可能性があるからです。