メスキータを堪能しよう! 1. メスキータができるまで
中央がメスキータで、左の塔がアミナール。右は聖ラファエルのトリウンフォのモニュメントで、柱の上に建っているのは守護天使ラファエルだ
外壁175×135mを誇るメスキータ全景。左上の塔がアミナール、上の緑がオレンジのパティオ、真ん中には十字架型の中央礼拝堂が確認できる (C)Toni Castillo Quero
住民はモスクをそのまま教会として使い続けたが、16世紀に大司教が大聖堂への改築を命じると、スペイン国王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)がこれを承諾してしまう。
仕事を請け負った建築家エルナン・ルイスはこの芸術作品を守ることを決意し、全体を壊さず、中央部分にだけ手を入れて、ゴシック様式とルネサンス様式が混在する大聖堂を付け加えた。
その後メスキータを見たカルロス1世は、「ありふれた教会を造るために、稀有な作品を破壊してしまったようだ」と改築を嘆いたという。とにもかくにもこうしてアラブ風の建物に西欧風の教会を内蔵する世界に類のない建物が完成した。
メスキータを堪能しよう! 2. メスキータの見所
メスキータ、中央礼拝堂の外側部分の列室。二重アーチとゴシック様式の天井の融合が美しい
■アミナール
メスキータの聖イルデフォンソ門に刻まれた美しいアラベスク
■オレンジのパティオ
96本のオレンジが並ぶ中庭で、人工池はイスラム教徒が身体を清めるために使う沐浴場だった。もともとこのパティオと礼拝の間はつながっていて自由に行き来できたが、教会として使用されるようになったときに壁で塞がれた。
■礼拝の間:円柱の森
二重アーチの円柱が林のように並んでいることから「円柱の森」と呼ばれる。かつて1016本の円柱があったが、中央礼拝堂が造られた際に864本に減らされた。ストライプの白い部分は石灰岩、赤い部分はレンガ造りだが、増築された部分は色を塗っただけになっている。
■礼拝の間:中央礼拝堂
メスキータ、中央礼拝堂の中央祭壇 (C) Jan Seifert
■礼拝の間:キブリ、ミフラーブ、キューポラ
南西部分にはイスラム教の聖地メッカを示すキブリと呼ばれる壁があり、その中央にはミフラーブと呼ばれる窪みが設けられている。キブリとミフラーブを彩るアラベスクやアーチは見事。付近には王のために礼拝堂=マクスーラが設置されており、美しいキューポラ(天蓋)で飾られている。