ラムサール条約に登録された渡良瀬遊水地
首都圏が拡大するにつれて、周辺のエリアからは急速に自然が失われてしまいました。コンクリートジャングルでの日常生活にも癒しが必要です。時間を見つけて、自然を求めて出かけたいものです。都心から1時間余りのところに我が国最大の遊水地があります。渡良瀬遊水地の敷地面積は約33平方キロにも及び、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県の4県にまたがります。2012年、世界の貴重な湿地の保存するための国際条約、ラムサール条約に登録されました。洪水と公害から流域を守る調整池
利根川の支流の中で最大の流域面積をもつ渡良瀬川の両岸は、1800年代まで度々の洪水に悩まされていました。これに1890年代の足尾鉱毒事件が追い打ちをかけました。流域を洪水と公害から守るために、足尾銅山から渡良瀬川に流れ込む鉱毒を沈殿させる調整池を作る計画が立てられました。1910年から谷中湖、3つの調整池などの整備が始まり、1930年に現在の渡良瀬遊水地の原形が完成しました。ヨシの原野に生息する多種多様の動植物
遊水地の大半はヨシの茂みに覆われています。ヨシ原には、約1000種類の植物、約260種の鳥類、約1700種類の昆虫類、約50種類の魚類が育っています。中には、かつては日本のどこででも見られたキツネやタヌキの他、タカの仲間、チュウヒやサシバなども元気に生を育んでいます。レジャーの中心は谷中湖
野生動物や植物を観察するには3つの調整池付近ですが、レジャーや観光で訪れる人は谷中湖の周りに集中します。4つの県境が交差するエリアには各県ごとにエントランスが設けられていますが、中央エントランスは埼玉県加須市側にあります。東武日光線の柳生駅からミクニ緑道を東に約20分歩けば湖の南西端です。次のページでは、エリアごと渡良瀬遊水地の魅力を紹介します。