将棋/将棋のすすめ

自由研究の題材に、日本の伝統文化「将棋」-2(2ページ目)

楽しい夏休みを暗黒世界に導く「自由研究」。小学校の教員として自由研究審査員の経験もあるガイドが悩み苦しむ皆さんに、将棋をテーマにした研究を提案する第2弾。研究の先にあるものは、光り輝く世界かもしれませんよ。

有田 英樹

執筆者:有田 英樹

将棋ガイド

審査員の目から見た自由研究

ガイドのおじさんは審査員でした

ガイドのおじさんは審査員でした

告白します。ガイドのおじさんは、昔、小学校の先生をしていたんですね。それでまあ、時には、自由研究の審査員なんてのもやってたわけです。皆さんから見れば「夏の友」ならぬ「夏の敵」ですよね。これからするガイド記事に免じてお許しください。

さて、自由研究ですが、目を引く研究をするコツ、研究を上手にまとめるコツがあるんです。では紹介しましょう。

 

地図のある自由研究

日本地図にプロ棋士の出身地を

日本地図にプロ棋士の出身地を

地図ってのは目を引きやすいんです。だから、まとめるのに効果的です。将棋で言えば、こんなテーマはどうでしょう。

『将棋、どの県が強い?』


プロ棋士の出身地を調べて、白地図に書き込んでいくんです。これは、日本将棋連盟のHPで調べることができますよ。

すると、何らかの傾向がわかってくるかもしれません。

たとえば、都会より地方の方が強い人が多いとか、逆だったり。
たとえば、寒い地方の方が強いとか、逆だったり。

囲碁と絡めて研究するのもおもしろいかもしれません。たとえば、将棋と囲碁のタイトルホルダーを出身地別にわけて調べるんです。これまた、何らかの傾向があるかもしれません。将棋のタイトルを取った県は、囲碁のタイトルも取る傾向にあるとか、逆とか。


年表のある自由研究

家康も将棋好き

家康も将棋好き

地図と同様に、年表も目を引きます。パッと見てわかりやすいですしね。

たとえば、将棋の歴史を年表にまとめてみたらどうでしょう。題して『貴族の将棋から電脳との将棋へ』なんていいかもしれません。

将棋は奈良時代、あるいは平安時代に伝わったと言われています。ルーツはチェスなどと同じく、インドのチャトランガという競技だそうです。伝わった頃は、今よりもずっと駒の数が多かったそうです。中には92枚もの駒を使う将棋があったそうですよ。調べてみたらおもしろそうでしょ。

日本独特の持ち駒ルールは室町時代に考案されたんですね。平安という国風文化、そして、鎌倉という武士文化。これらが室町で融合したのかもしれませんね。

また、安土桃山時代には大橋宗慶(宗桂)という、後のプロ棋士の第一号が出現します。彼は信長、秀吉、家康との関わりがあったんです。すごいですよねえ。

時代は進み、明治。福沢諭吉は小野五平という棋士の後援者になり、支えるんですね。日本の伝統文化といわれるだけあって、将棋の歴史はおもしろいでしょ。さらに平成のコンピューターとの対決も入れるとすごい研究になりますよ。


図のある自由研究

カニ囲いの局面図

カニ囲いの局面図

説明に図が加わっている研究は大変読みやすいのです。将棋には局面図という研究にもってこいの図があります。たとえば、将棋の囲いの研究です。いろんな囲いを局面図にして解説を加えるという研究はどうでしょう。

将棋の囲いにはおもしろい名前がついていますよ。たとえば「カニ囲い」「イチゴ囲い」「箱入り娘」「ダイヤモンド美濃」なんてのもあります。

オリジナルな囲いを創り出し、名前をつけるというのも素敵です。『最強の将棋囲いを生み出す研究』なんてタイトルが良いんじゃないでしょうか。

同じく局面図を使うなら詰め将棋研究も良いかもしれません。一手詰めや3手詰めなどの問題を紹介し、自分で問題を創作できたら最高ですね。『君に解けるかオリジナル詰め将棋』なんてタイトルは友達の目も引きつけるに違いないです。


格言のある研究

揮毫

揮毫

プロ棋士が色紙に書いてくれる言葉があります。これ、揮毫(きごう)と呼ばれるんですが、揮毫を集めて解説を入れるなんて研究も味があります。

たとえば「一意専心」。金井 恒太プロが書いてくれた言葉ですが、この意味を調べ、紹介するんです。たくさんの棋士の揮毫を調べれば、かなり深い研究になりますよ。 『棋士が好む格言集』てなところでしょうか。

 


グラフのある研究

どのくらいの確率で100が出るのか

どのくらいの確率で100が出るのか

これは、かなり高度になりますが、統計グラフのある研究も素敵です。たとえば、まわり将棋(過去記事参照)で100の出る確率を調べてみてはどうでしょうか?1000回振ってみて何回100が出るのか?題して『まわり将棋で100が出る確率』なんてのはいかがでしょう。

自分だけでなく、家族や友達にもやってもらうと良いですよ。それを棒グラフにするのです。「1」が出た回数、「2」が出た回数というふうに、それぞれの回数をグラフにするんです。データーの数が多いほど、その確率がたしかになっていくはずですから、これは、すごい研究です。

 


最後に、ありゃりゃ

こうやって、いろいろとガイドしてきましたが、書いてるうちにガイドのおじさんは楽しくなって来ちゃいました。だって、わくわくするようなテーマが勢揃いしてますから。ありゃりゃ、もしかすると……。もしかすると自由研究っておもしろいのかも。そう言えば、やっぱり100年ぐらい前のフランスの作家でアルベール・カミュって人は、こう言ったそうですよ。
自由とは、より良くなるための機会のことだ / アルベール・カミュ
レッツ将棋

レッツ将棋


この夏の自由研究が皆さんにとって、より良くなる機会でありますように。

さあ、研究が終わったら、みんなで将棋しようぜいっ!

最後に、この記事をカミュさんにも捧げます。

(了)

 


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追記

「敬称に関して」

文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。
(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。
(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。
(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。

「文中の記述に関して」
(1)文中の記述は、すべて記事の初公開時を現時点としています。

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