さて、皆さん、この夏休みも、あいつに悩まされていませんか。あいつ……。そう、あいつですよ、あいつ。名前の頭に「自由」なんてすてきな言葉を織り込み、いかにも皆さんの味方であるかのようにふるまうあいつ。
しかしですよ、皆さん。今から100年くらい前、フランスにサルトルっていう有名な哲学者さんがいたんですがね。彼は、自由についてこう言ったんですよ。
「人間は自由の刑に処せられている」/サルトル
ひえ~、自由って刑罰だったのか!
そう言えば、自由席ってのがありますよね。これ、指定席に比べると安いけれど、早い者勝ちだったりして、最悪の場合、座れないってことだってありますよ。自由「席」なのに、立ちっぱなし。ひえ~、やっぱり刑罰かも。そうなのです。自由って油断していたら、まずいのです。
で、あいつの話に戻します。もう、おわかりですよね。あいつってのは、皆さんから夏休みの自由な時間を奪う「自由研究」です。
自由研究、誰が考えたんだか知らないけれど、これ、うまいネーミングですよね。
自由については、今までに述べた通り。研究だって勉強や学習より、なんか、響きがいいですよね。そうそう、ガイドのおじさんが子どもの頃、夏休みの問題集には「夏の友」って名前がついていたんですよ。いったい、どこが友なのか、まったく不明でした。
ところで、今から2千年以上も昔、中国に司馬遷(しばせん)っていう歴史家さんがいたんですがね。この人はこう言っているんです。
「甘言はやまいなり」/司馬遷
その通り。甘い言葉にだまされちゃあいけません。サルトルくんも司馬遷くんも、自由研究に悩まされたのかもしれませんね(そんなわけないか)。
てなわけで、今回の記事は、よい子の皆さんとサルトルと司馬遷に捧げます。
ガイドのおじさんは、以前にも自由研究について書きました。
『自由研究の題材に、日本の伝統文化「将棋」』
これが、けっこう、好評でしてね。いろんなお子さんや、保護者の方から反響がありました。まだの方は、ぜひ、ご覧くださいね。でも、さすがに、毎年、同じことを書いて提出するわけにもいかないでしょうから(いや、ホントなら、それも自由なんでしょうが)、今回はニューバージョンでガイドしていきます。では、次ページへレッツゴー。