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スマートパワーで「マンション値引き」を勝ち取ろう(2ページ目)

景気は持ち直していると言われつつも、雇用・所得環境は不透明なままです。こうした「実感なき景気回復」の中で、どのような住宅購入方法が最適なのか、その答えは容易に見つかりません。価格の下押し圧力が強まる現在、ただ安ければいいというわけにはいかないのです。品質を維持したまま割安感を手に入れるには、「値引き交渉」以外に最善策はありません。そこで元営業マン直伝、マンション値引きのテクニックをご紹介します。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

スマートパワーとは、「ハード」と「ソフト」を融合させた外交戦略

5月28日、日本政府は米軍普天間基地の移設問題で、代替施設をキャンプシュワブ辺野古崎地区およびこれに隣接する水域に設置することを閣議決定しました。沖縄県を含む地元の負担軽減とともに、日米同盟を21世紀の新たな課題にふさわしいものとするができるよう、幅広い分野における安全保障協力を推進・深化させていくことを共同発表しました。

憲法第9条により、戦争と武力による威嚇または武力の行使を放棄したわが国は、「核の傘」という言葉に代表されるよう、米国の巨大な軍事力によって安全が保たれている側面が大いにあります。その是非は別にして、現実問題、米国への依存度を高めなければならない日本の現実が存在します。それだけに、米国が有する外交の基本戦略を知ることは重要な意味を持ちます。2009年1月、新しく誕生した米オバマ政権によって、「スマートパワー」という概念が打ち出されました。

スマートパワーとは、軍事力や経済力といった「ハードパワー」だけではなく、政治(イデオロギー)や文化的な魅力による制圧力といった「ソフトパワー」をも融合させた相互作用型の外交政策の総称です。武力によって無理やり力で相手をねじ伏せようとしても、返って反発を買ってしまうものです。互いの風通しをよくし、信頼感や共感によって両者の意思疎通が円滑に行われるようになれば、良好な外交関係が構築されることは間違いありません。

折りしも、今年2010年は日米安全保障条約の署名50周年の節目の年です。「悪の枢軸」と名指しした、ブッシュ前政権時のイラク戦争に代表されるように、ハードパワーに偏った外交戦術だけでは国家は維持できません。「ハード」と「ソフト」の両パワーがあって、初めてバランスが保たれるのです。スマートパワーという概念、これを機会に是非とも覚えておくといいでしょう。
 

冷やかしはNG!買い主側から値引き交渉を切り出すのが必勝条件

さて、前置きが長くなりましたが、それではここから値引きのテクニックを紹介します。ポイントは以下の7点です。
 

  1. 商談早々、いきなり値引きの話から入るのはタブー。まずは、そのマンションの販売状況を確認すべし!
  2. 営業マンと仲良くなり、お互いの信頼関係を構築する。
  3. そして、タイミングを見計らって「このマンションが買いたい」という意思表示を担当者に示す。
  4. その際、具体的な値引き幅を含め、買い手側から自発的に価格交渉の話を切り出すのが肝要。 腹の探り合いは時間のムダ。
  5. 交渉成立後には“必ず”契約する意思を固めておく。「値引いてくれたら買うかどうか検討する」といった冷やかしは絶対にやめる。
  6. 営業担当者からの返事をもとに、最終的な売買価格を詰める。
  7. 金額に折り合いが付いたら、手付金の入金・重要事項説明・売買契約の締結で一通り終了。

 
営業マンも人の子です。いくら売りたいとはいえ、初めて会った人といきなり価格の交渉をすることはありません。まずは来場客数や販売状況などを営業マンからヒアリングし、そのマンションがどれくらい売れているか確認することから始めましょう。売れていないようであれば、売れていないことへの警戒心をどの程度、抱いているのか、売り手側の深層心理(危機意識)を探ることが最初のステップとなります。相手を思いやる心がお互いの人間関係を深めます。

そして何度かやり取りをし、一定の信頼感が築けたところで、ようやく「気に入っているので、ぜひとも買いたい。値引きしてほしい」という意思を単刀直入に伝えます。初期段階で営業マンのマインドをつかみ、感情移入することで相手の心理をコントロールしやすくしておくのです(ソフトパワー)。と同時に腹の探り合いは極力避け、買い手側から自発的に価格交渉を持ち出す(ハードパワー)ことで、買い手側が交渉のイニシアチブを握りやすくなります。まさに値引き交渉は、スマートパワーそのものなのです。

営業マンの本音として、たとえ値引き交渉に応じる心づもりがあっても、営業マンが自ら率先して値下げの話を切り出すことは稀(まれ)です。値引きを提示してしまうと、その途端に立場が逆転し、買い手側優位な商談に発展してしまうからです。こうした心理を逆手に取り、先手必勝で「ハードパワー」を行使すると優位な展開が期待できます。同時並行して「ソフトパワー」を取り入れることで、「ハイブリッド型の交渉術」=「スマートパワー」が活かされることになります。

なお、その際、「値引きしてくれたら、契約するかどうか検討する」というような優柔不断な態度で交渉のテーブルにつくことだけは避けてください。せっかく条件をのんだのに、約束(=契約)を守らない相手に憤りを感じるのは誰しも同じです。冷やかしでの価格交渉は絶対にやめなければなりません。相手の立場を踏みにじるような行為は慎(つつし)むようにしましょう。

スマートパワーを活用し、上手にマンション値引きを勝ち取ってください。
 

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