キュートな映画&夏の定番ホラーもあるよ!
『クーキー』(2015年8月22日公開)オンドラ少年(オンジェイ・スヴェラーク)は、クーキーというぬいぐるみを大切にしていたけれど「喘息が悪化する」と、ママに捨てられてしまいます。捨てられたクーキーはショベルカーにつぶされる寸前、森の中へ逃げ込むことに成功したけれど……。
パペットと実写によって作られたチェコ映画。多少CGも使っていますが、実際に森の中で人形を使って撮影するなど、手作りのぬくもりを感じさせるパペット作品です。
クーキーが出会う森の村長や森の悪人たちのキャラクターは、ゴミだったり枯れ木だったり……。村長なんてボロボロなんですが、大自然の中にいるわけですから、それは彼らなりのリアルなのです。オモチャが動く物語は『トイ・ストーリー』もあるけど、『クーキー』はもっと神秘的で心が清められるような不思議な力を感じます。(公式サイト)
監督・脚本:ヤン・スヴェラーク 出演:オンジェイ・スヴェラーク、オルドジフ・カイゼルほか
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(2015年8月1日公開)
スコットランドのグラスゴー。うつ病で拒食症のイヴ(エミリー・ブラウニング)は、音楽をやりたくて病院を脱走。音楽好きのジェームズ(オリー・アレクサンデル)とその友だちキャシー(ハンナ・マリー)と出逢い、友情と音楽活動が始まる……。
スチュアート・マードック監督はミュージシャンだけあって音楽のセンスが抜群にいい! 英国のロックやポップスが好きな人はたまらないでしょう。男女3人が音楽に乗って軽快に街を歩いたり、踊ったりする姿を見ているだけで幸せ! またファッションもオシャレ心を刺激してくれます。ヒロインの心の病はわりと深刻ですが、逆にそれが彼女にとっての音楽の重要性を示しています。オシャレとシリアスのさじ加減が絶妙。甘辛ミックスな世界を醸し出しています。(公式サイト)
監督:スチュアート・マードック 出演:エミリー・ブラウニング、オリー・アレクサンデル、ハンナ・マリーほか
『死霊高校』(2015年8月22日公開)
高校の演劇発表会の前日。舞台をメチャクチャにして発表会を中止に追い込もうと深夜の学校にもぐりこんだリース(リース・ミシュラー)、キャシディ(キャシディ・ギルフォード)、ライアン(ライアン・シューズ)。3人は舞台を壊したつもりだったのに、なぜか元に戻ってしまう。「いったい誰が?」。
『パラノーマル・アクティビティ』の製作チームが新人監督ロフィング&クラスに白羽の矢を立てて作り上げたPOV(主観映像)ホラー。ライアンがずっとカメラを回しており、その映像がメインになっています。ドキュメンタリーのような作りは『パラノーマル・アクティビティ』と同じですが『死霊高校』はPOVの映像に頼らず、観客を怖がらせるようにしっかり仕掛けています。何より舞台ぶち壊し計画を企てたライアンの性格が極悪なのがいいですね。「もっと恐ろしい目にあってしまえ!」と思えるので、恐怖演出が加速していくのが怖いながらも楽しいです。(公式サイト)
監督:クリス・ロフィング、トラヴィス・クラフ 出演:リース・ミシュラー、ファイファー・ブラウン、ライアン・シューズ、キャシディ・ギルフォードほか
『彼は秘密の女ともだち』(2015年8月8日公開)
大親友ローラの死後、落ち込んでいたクレール(アナイス・ドゥムースティエ)は、夫のススメで親友の夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)とローラの娘の様子を見に行きます。するとそこには見知らぬ女性が。なんと彼女はダヴィッドの女装した姿だったのです。
女装したダヴィッドと接するうちに、クレールは女装したダヴィッドにどんどん惹かれていきますが、彼女は女装したダヴィッドを通してローラを見ているような気も。不倫でもない、友情ともちょっと違う不思議な二人。クレールが抱いていた亡くなったローラへの想いは何だったのか、ダヴィッドへの想いは? そんな風に心揺れるクレールの内面に映画は入り込んでいくのです。クレールがダヴィッドの女装をごまかそうとする前半はコミカルな要素もありますが、彼女の心が激しく揺れる後半は濃厚な愛のドラマ。一つの映画でグラデーションのようにヒロインの心を変化させていく手腕は、さすがフランソワ・オゾン監督ですね。(公式サイト)
監督:フランソワ・オゾン 出演:ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、ラファエル・ペルソナーズほか
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