テクノポップ/アーティストインタヴュー

ケラ&ザ・シンセサイザーズの新譜製作秘話(5ページ目)

有頂天の新作『lost and found』と同時発売となったケラ&ザ・シンセサイザーズの新作『BROKEN FLOWERS』からは、ニューウェイヴでありながらもサイケデリックなテイストも伝わります。予期せぬメンバーの途中脱退により難産となったこのアルバムの製作秘話についてKERAさんに語っていただきました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

同時発売の有頂天の新作

ガイド:
シンセサイザーズの新作と同日には有頂天の新作『lost and found』も発売となりました。2014年に開催された「ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー」の後期有頂天セッションにおいて再結成が宣言されたのにはビックリしましたよ。

lost and found (amazon.co.jp)
lostandfound

lost and found


KERA:
僕もです(笑)。同窓会はもういいだろうっていう気持ちがあって。それって一過性のものだと思うし、時間の無駄だと。当時のメンバーと一緒に生産的なことをやるならありだけど、まず不可能だろうと高をくくっていた。ところがメンバーがみんな「とりあえずライヴは新曲やろう」って言い出して。予想外の展開に背中を押されたというのが本当のところです。
uchoten

有頂天


ガイド:
今回収録されている5曲は、各自がデモを持ち寄ってという作り方ですか?

KERA:
「猫が歌う希望の歌」と「進化論」は先行してライヴでやってた曲です。あとの3曲はコンペをやって、一回だけアレンジのリハをやって、あとは現場処理ですね。ワッと形にして、ひっくり返すところは一気にひっくり返す。思いつきはすぐさま形にする。迷わない。「ちょっとジン、今日、娘空いてたら連れてきて」って言って、娘さんに歌ってもらったりとか(笑)。それは「東京麒麟駅」って曲ですね。聴けばすぐ分かります。

ガイド:
ということは、レコーディング自体はそれほど時間がかかっていない?

KERA:
6日間の突貫工事でした。普段の仕事を捨てて再結成したわけではないから、なかなかみんなの時間があわなくて。今再結成するっていうのは、困難な道だとは思います。さほど活発には動けないし。だけどそれでもやる価値があると思うか ら、5人は集まったんだと思う。今回のミニ・アルバムは若干は遊び気分だっていうのもなくはなかったですけど、懐古的なムードは一切ないですね。

これぞ、有頂天!

ガイド:
どれも「これぞ、有頂天!」という曲になっているのには驚きました。

KERA:
「せーの!」で音出した時にまぎれもなくあの面子ならではの音だったのは、感動的でしたよ。それってつまり、自分があるってことですからね。それぞれに。これしかできないとも言えるけど(笑)。次はフル・アルバムを作ろうと決めているんですが、集まった5人で今何を作るかっていうところから始まるから、今回とは全然違ったものになるでしょうね。実際、ポニーキャニオン時代と東芝EMI時代、かなり違いましたからね、やってること。『土俵王子』と『ベジタブル』だって全然違うしね。オーディエンスもそれぞれ違うんじゃないですかね、自分にとっての有頂天って。

今後のシンセサイザーズ

ガイド:
今後シンセサイザーズではギターはどうしていく予定ですか?

KERA:
どうしていくんでしょうねえ。当面正式メンバーは迎えずにやっていくんじゃないかな。まだなんともいえないですけど…。しばらくすると三浦がまた弾いてたりするかもしれないし。でも今の流れでいくと、三浦が弾いてたとしてももう一人ギターが欲しい(笑)。本当は一人、マルチプレイヤーがいてくれるといいんですけどね。曲によってギター弾いたり、キーボード弾いたり、パーカッション叩いたりできる人が。

ケラ&ザ・シンセサイザーズ(公式サイト)
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