新築やリフォームで用いられる加熱機器は、ガスコンロもしくはIH
新築やリフォームの際に、こだわる方も多いのがキッチンプラン。レイアウトや扉デザインなどはもちろん、調理のしやすさを左右する加熱機器も重要なアイテムのひとつでしょう。一般的な住宅の主な加熱機器は、ガスコンロとIHクッキングヒーターですが、磁力線によって鍋自体を発熱させ調理するIHクッキングヒーターは、直火がでないこと、掃除のしやすいことが特徴。ガスコンロは、必要な火力を速やかに得られることができるため、あおり調理ができ、炒めものなどに適しています。また、炎と上昇気流で鍋全体をあたためることが可能なのもメリットでしょう。
3つ横並び なので、鍋も置きやすい。二人並んで調理もできる。[トリプルワイドガス] パナソニック エコソリューションズ
システムキッチンに多く取り入れられているビルトインタイプとは
住宅に取り入れるガスコンロには、ワークトップに組み込むビルトインタイプのコンロとコンロ台に据え置くガステーブルと呼ばれるタイプがあります。新築やリフォームの際にプランニングする方の多いシステムキッチンでは、ビルトインタイプが設定されているのがほとんどでしょう。いずれも、都市ガス用とプロパンガス用(LPガス)があるので、事前にガスの種類を確認することも大切です。ビルトインタイプのガスコンロの特徴と傾向
ビルトインタイプのガスコンロは、3つ口のタイプが一般的。温度調節や自動炊飯などの調理機能、過熱防止など安全機能、お手入れしやすいゴトク、汚れ落ちのよい天板(トップ)の素材など、使い勝手も高まってきています。魚焼きグリルの機能が充実していることも最近の大きな特徴でしょう。4口のバーナーを搭載したグリルのないタイプ。ステンレスの質感を生かしたデザインが特徴。[アレスタ G98 4口コンロ ステンレストップ グリルレスタイプ] LIXIL
ビルトインタイプのガスコンロの間口サイズは、60cmと75cm。広い方が大きな鍋などが使用しやすいですが、プランによっては調理スペースが若干狭くなることも。いずれも、火力の異なるバーナーを組み合わせた3口タイプが一般的。4kW前後の強火力バーナー、それ以下の標準的なバーナーと小バーナーが設定されているものでしょう。最近では、手前の2つ口(左右両方)ともに強火力とした商品も増えてきています。
メーカーによっては、3つのコンロを横一列に並べたタイプ、バーナーの間隔を広くすることで、3口同時でも使いやすいタイプなど個性的な商品もみられます。
■天板の素材 ガラストップが主流に
ビルトインコンロの天板(トップ)には、ガラストップ、ガラスコート、フッ素コート、ホーロー、アルミ、ステンレスなどがありますが、最近ではガラストップが多くみられます。
ガラストップは、デザイン性はもちろん掃除もしやすく、耐久性や耐熱性に優れるもの。ガラスコートも、汚れが落ちやすくお手入れも楽、ガラストップに比べると、価格を抑えたものが揃っています。フッ素コートは、油汚れや吹きこぼれをはじき、お手入れも簡単、ホーローは耐久性に優れる素材です。アルミは、熱が早く分散するため汚れが焦げつきにくく、ステンレスは優れた耐久性が特徴で個性的なタイプがみられます。
■便利・安全機能 温度調節や検知機能も充実、スマホと連動も
ダブル高火力バーナー、自動調理機能、オートグリルなどを搭載。すっきりとしたデザインのガスコンロ。[アレスタ K48 3口コンロガラストップ 高機能&スタイリッシュ] LIXIL
また、設定されたモードを選ぶことで火力を自動調節、定番メニューが簡単に調理できるタイプも。最近では、専用のアプリをスマートフォンにダウンロードすることで、状態を表示したり、レシピを選び最適な設定をコンロに送信することができるものなどもみられます。
もちろん、安全面の機能もさまざまな工夫が施されています。コンロには、「Siセンサーコンロ」のマークが表示されており、これは、油が自然発火する天ぷら火災を防ぐための「調理油過熱防止装置」、万一火が消えても自動でガスを止める「立ち消え安全装置」「消し忘れ消火機能」を全バーナーに標準装備したガスコンロのことです。その他、焦げ付きを感知すると自動消火する機能、鍋を置いていない状態では点火せず、消し忘れを防止する機能、機器本体が揺れを感知すると自動消火する機能などを搭載した商品もみられます。
■掃除のしやすさ 天板の素材やゴトクの形状に工夫が
キッチン設備機器全体として、掃除のしやすさは高まってきています。ガスコンロも同様で、汚れにくく、お手入れのしやすい工夫が多くみられ、天板の素材やコーティングなどにもメンテナンス性を高めたものが増えています。
パッキンで煮こぼれが入りにくいものやバーナー本体との隙間をガードするカバーを設けたもの、また、バーナーまわりの熱を分散・放熱させて表面温度の上昇を抑え、油はねなどの汚れを焦げつきにくくしたものなども。その他、掃除のしにくいゴトクは単純でコンパクトな形状なものが増えてきており、簡単に外して洗うことができるものがみられます。
使いやすいひろびろとした設計のコンロ。2層コート構造の硬質カラーホーローが特徴。シンクとのコーディネートも可能な6色が揃う。[ファインコートトップ〈ひろまる〉] LIXIL
デザイン面では、無駄のないすっきりとした形状が多くみられます。天板は、カウンターに馴染むフラットなデザイン、ホワイトやブラックだけでなく、シンクとコーディネートできるカラーバリエーションがあるものも。また、操作部分がオーディオ機器のようにスタイリッシュなもの、操作パネルがユニバーサルデザインとなっているものなど、さまざまなタイプが揃っています。前面パネルのデザインもシンプルで、キッチン全体に溶け込むようなタイプが多くみられます。
■グリル(魚焼き器) ダッチオーブンに対応したものなど機能充実
一体となっているケースが多いグリル(魚焼き器)にも、コンロ同様に、さまざまな機能が搭載されたタイプが多くみられるようになりました。上下同時加熱でスピーディーに焼き上げる両面焼きグリル、ダッチオーブンに対応したものなどもあり、本格的なオーブン料理を楽しむことも可能です。また、トーストや揚げ物の温め直しなどにも便利な機能も。ワイドなタイプも増えており、引き出し幅も大きくなったものがでています。
もちろん、掃除がしやすく、お手入れが簡単な工夫もみられます。フラットな形状の焼網や表面加工を施したグリル皿など、シンクで簡単に洗うことができるもの、すべてを取り外すことができ、簡単に分解できるタイプも揃っています。
その他、焼き魚などの調理時の排気口からの臭いや煙をカットする機能を持たせたタイプであれば、LDKが一体となったプランでも気にならないでしょう。
焼き網の代わりにグリルプレートを使うことで、手際よく調理ができる。 [アレスタ グリルプレート] LIXIL
ショールームで確認を。セミナーなどで実際に使用して
新築やリフォームの際に、取り入れるケースが多いシステムキッチンでは、商品によって選ぶことができるガスコンロが設定されているので、こだわりのある場合は、システムキッチンを選ぶ前に確認を。海外の製品を使用したい場合などは、特に注意が必要でしょう。価格は10万円前後から20万円台程度ですが、商品によっては30万円以上するタイプも。搭載されている機能によって大きく異なるので、わが家にとっての優先順位を明確にして選ぶこと。家族構成や食事のスタイル、調理内容などを考慮して検討すること重要でしょう。また、ショールームで実際に操作するなどして確認することも大切なポイント。最新機種を使用した料理教室などのセミナーを実施しているショールームもあるので、参加してみるのもいいでしょう。
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