土地購入/土地価格・地価・路線価

2015年路線価は大都市圏の上昇が一部で減速

2015年は相続税の課税強化でスタートしましたが、相続時における土地価格の算定基準となる路線価が7月1日に発表されました。大都市圏を中心に地価の上昇傾向が続いているものの、一部ではその勢いが弱まっているようです。今年の路線価の傾向を確認しておくことにしましょう。

執筆者:平野 雅之


2017年の路線価についてはこちら
2017年路線価は2年連続上昇、最高価格はバブル期超え



銀座のビル群

東京・銀座の上昇率は10%を超えた

2015年(平成27年)分の路線価が7月1日に国税庁から発表されました。これは相続税などの算定に使われる、1月1日時点の土地価格です。

2015年1月1日の相続税法改正で大幅な課税強化が実施され、路線価の上昇で相続税の負担が増える世帯も少なくありませんから、その動向が気になる人も多いでしょう。

全国平均は7年連続で下落したものの、都道府県別平均では宮城県と愛知県が3年連続の上昇となったほか、東京都、神奈川県、大阪府など6都府県が2年連続で上昇しています。また、新たに京都府と沖縄県が上昇へ転じました。

相続税や贈与税の税額にも影響する路線価がどうなったのか、2015年の動向を確認しておくことにしましょう。


路線価とは?

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があるものの、一般的に「路線価」といえば「相続税路線価」を指します。

これは、相続税および贈与税の算定基準とされる土地評価額であり、毎年1月1日を評価時点として、都市部の市街地ではほぼすべての路線(公道)に対して価格が付されます。その他の地域の宅地については、固定資産税評価額に対する倍率を定める「倍率方式」によります。

この路線価は公示地価の8割が目安とされています。

地域によっては実際に取引される実勢価格との間にかなりの相違があるものの、2015年における路線価の調査地点(標準宅地)数は約33万4千で、公示地価の約2万3千よりも格段に多く、地価の傾向を知るためには公示地価よりも適した指標となります。

路線価の特徴や公示地価との違いなどについて詳しくは ≪路線価・公示地価・基準地価の違いを知る!≫ をご覧ください。

また、国税庁のサイトにおいて2015年分の路線価図が7月1日から公開されています。こちらでは、2009年(平成21年)から2015年(平成27年)まで7年間分の路線価図などを閲覧することができます。


東京都、大阪府などが2年連続の上昇

路線価の全国平均は前年比0.4%のマイナスで、7年連続の下落となりました。しかし、下落幅は6年連続で縮小しています。

都道府県別の平均では、宮城県が3年連続のトップとなる2.5%(前年は2.4%)のプラスだったほか、愛知県が1.0%(同1.2%)のプラスで、いずれも3年連続の上昇となりました。

さらに、福島県(2.3%)、東京都(2.1%)、神奈川県(0.6%)、大阪府(0.5%)、千葉県(0.3%)、埼玉県(0.1%)の6都府県が2年連続で上昇し、新たに沖縄県(0.3%)と京都府(0.1%)の2県が上昇へ転じました。また、滋賀県と福岡県も横ばいとなっています。

残る35道県は引き続き下落していますが、そのうち28県で下落幅が縮小した一方で、5道県は前年よりも大きな下落となりました。2013年と2014年は下落幅が拡大する都道府県がゼロでしたから、悪化は3年ぶりです。

今回の路線価は2014年中における地価の動きが反映されていますから、消費税率の引き上げに伴う景気の後退などが影響したことも考えられるでしょう。

下落幅が5%を超えた県はありませんでしたが、秋田県(マイナス4.6%)、鳥取県(マイナス3.6%)、佐賀県(マイナス3.5%)、鹿児島県(マイナス3.4%)の4県が3%を超える下落でした。前年は11県が3%を超える下落でしたから、その面では改善がみられるようです。

なお、原発事故による帰還困難区域、居住制限区域などでは、引き続き評価額を「ゼロ」とする措置がとられています。


都道府県庁所在地の最高路線価、税務署別の最高路線価の状況…次ページへ

  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます