ネヴィルの「子犬のような」奥ゆかしさ、もじもじ加減も
見どころの一つ?!
――その「引き」が今回のご自身のテーマでしょうか?
『ライムライト』ネヴィル役
――ネヴィルがいることで、よりテリーの人物像が明確になりますね。
「そうですね、僕の役を通してテリーという人物がよりお客様にわかりやすく見えていったらいいなと思いますね」
――今回は“音楽劇”ということで、チャップリン自身が作曲した「エターナリー」など映画のナンバーに加え、荻野清子さんによるオリジナル曲も登場するのですね。
「お芝居の中にナンバーが溶け込んでいる感じで、1曲歌って拍手をいただくという感じではないのが、ミュージカルとは明らかに違います。本当にきれいに溶け込んでいて、音楽劇の良さを感じます」
――台本にはチャップリン自身の人生哲学かな、と思われるような名台詞もたくさんありますが、良知さん的に共感できる台詞はありますか?
「物語自体はちょっと切ない部分があって、ミュージカルで例えれば『コーラスライン』的な、人生の影の部分が描かれていて、それを受け入れちゃうと寂しいかなと思うんですが、カルヴェロがテリーとの会話で言う、“笑いや拍手があるときほど頑張れることはない”というような台詞にはすごく共感できますね。役者さん誰もが同じだと思います。
舞台ではお客様や作っている側の空気によって、受けることもあればそうでないときもあるけれど、それがマッチする時にはすごく「よかったな」と幸せを感じるんです。カーテンコールで拍手をいただくと嬉しいし達成感があるし、そのあとも頑張っていける。不思議ですよね、拍手の力って。『スリル・ミー』のようなシリアスな作品からものすごくハッピーなミュージカル、アーティストとして活動させていただいているライブまで、いろいろなステージに立っていますが、そのどこでも拍手というのは一つ、同じ力を持っているのかなと思います」
――今回、どんな舞台になりそうでしょうか?
「原作映画の世界観に演出の荻田浩一さんのエッセンスが加わることで、原作とは一味もふた味も異なる、まるで異空間にいるような感じの舞台になるのではないでしょうか。それこそ淡く優しく、切なく哀しく、そして感動的な…。カルヴェロが主人公ではありますが、病気から立ち上がったヒロインがさらに試練を乗り込えてゆくという話ですので、女性のお客様にもとても共感できる作品だと思います。僕たちにとっても、カルヴェロやテリーの“芸道”に自分を重ねてみることができる作品です」
*次頁からは良知さんの「これまで」をうかがいます。ジャニーズ事務所から劇団四季を経て東宝芸能へ。アイドルの世界から、どのようにミュージカルへと進路を変えていらっしゃったのでしょうか?