マンション管理士資格取得後の活用方法
(1) 真のプロフェッショナルはまだまだ少ないマンション管理士は、全国に約2万人の登録者がいますが、資格を取得した後にどのような道を選んでいるのでしょうか。 管理組合を対象とするコンサルティング会社は、東京を中心にいくつかありますが、その企業規模や数を見る限り、採用人数は若干名に止まっていると思われます。したがって、実際には個人事務所として独立開業する割合が圧倒的に多いようです。
そして実際にプロのマンション管理士を志す場合には、マンション管理士会に所属する場合が多いようですが、管理士会に所属する割合が、全体のおよそ1割程度と言われています。さらに、あるマンション管理士会のアンケート調査によれば、マンション管理士専業で生計を立てている割合は4%に過ぎなかったとの情報があります。
その点から推定すると、本当の意味でプロと言えるマンション管理士は全国で100人以下ではないかと予測できます。また年齢的には60歳以上の高齢者の割合が高く、年金等の安定収入もあるなどから、「趣味と実益を兼ねるレベル」に止まっている方が多いのが実情のようです。
(2) 独立開業した場合の報酬はどれくらいか?
マンション管理士が専業でやっていく場合の業務メニューとしては、大きく以下の3つに分類できます。
◆ 管理組合顧問
管理組合と顧問契約を締結し、組合の執行機関である理事会の運営をサポートし、相談に応じたり、適宜助言・指導することが主業務となります。
報酬の水準は、物件の規模等にもよりますが、月額3~10万円程度と考えられます。
◆ コンサルティング
一般的に、管理会社はマンション分譲業者の子会社が選定されるケースが圧倒的に多く、その結果、管理委託費が割高なのが一般的です。
そこで適正な金額を査定し、管理会社との委託契約の見直しをサポートする業務の依頼も少なくありません。
この業務の報酬は、実際の削減額に応じた成功報酬型もあれば、固定報酬型もあります。1件当たり30万円から100万円以上にまで及ぶこともあります。
◆ その他付帯収益
管理組合からの相談等に対応する中で、必要な商品やサービスを紹介し、成約した場合、その提供業者から紹介料見合いの報酬を得られることもあります。
また、顧問やコンサルの実績が増えて知名度が上がれば、セミナー講師、本や記事の執筆などの依頼も期待できます。
以上の報酬体系をもとに考えると、マンション管理士として独立して生活できるようになるには少なくとも常時5件以上の顧問先を受け持ちつつ、単発のコンサルティング業務でも年間5件以上をコンスタントに獲得することが求められるといえます。
顧客がマンション管理組合であり、その「個人でも法人でもない特殊性」ゆえに、集客が難しい点に特徴があります。そのため、事業を軌道に乗せるには相応の時間がかかることについて、それなりの覚悟とその間に生活を支えるための資金的な準備が必要です。
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