建替え中のマンション

建替円滑化法は毎年出題されています

マンション管理士試験では、マンション建替円滑化法(以下、円滑化法)に関して毎年1問が出題されています。出題数を考えるとあまり深入りする必要はありませんが、建替組合設立から権利変換実行までの全体の流れと要点を理解しておきましょう。

また、この円滑化法は平成26年度に法改正され、建替え以外の選択肢としてマンション敷地売却制度が創設されています。この改正のポイントについても必ず押さえるようにしてください。

円滑化法の重要論点

円滑化法独自の専門用語を正確に理解した上で、建替組合の設立、組合を認可する主体、議決権の要件などを中心に、区分所有法との違いを意識しながらマスターするよう心がけてください。

1) 特殊用語の定義
円滑化法で使用される下記の専門用語について正しく覚えましょう。

・施行マンション:建替事業を施行する前の現存するマンション
・施行者    :マンション建替事業を施行する主体
・施行再建マンション:マンション建替事業の施行により建築されたマンション
・建替組合   :建替え決議にもとづき建替事業を実施することを目的とする法人
・建替合意者  :建替決議に賛成した者およびその承継人のほか、決議では賛成しなかったが決議後に建替え参加を表明した者を含む。

2) 建替組合の設立
建替決議で合意した者が5人以上が共同して「建替組合」という法人を設立し、区分所有権の買取りや建設工事の契約の締結を行います。

建物合意者が組合を設立するためには、建替合意者の議決権合計に対して4分の3以上の同意を要します。また、設立にあたっては定款と事業計画を定め、都道府県知事等の認可を受ける必要があります。

3) 組合認可の公告
都道府県知事等が建替組合の設立を認可した場合には、遅滞なく組合の名称、施行マンションの名称・区域、事業施行期間等の事項を公告する必要があります。

4) 組合員
組合員には、建替え合意者及びその承継人に加えて、事業への参加を希望し、かつ必要な資力と信用を有する者(デベロッパーなど)も含まれます。
ただし、その場合は「参加組合員」として組合の定款に定められる必要があります。

5) 組合の機関としての役員と審査委員
人数と任期の要件については以下の通りです。
・人数:理事3名以上、監事2名以上。理事の互選で理事長を1名選任。
・任期:3年以内とし、定款で定める。

なお、役員に加えて、土地建物の権利関係または評価に関する特別の知識と経験を有し、かつ公正な判断ができる者として「審査委員」(3名以上)を総会で選任します。

権利変換計画を定めたり、あるいは変更する際には総会決議だけでなく、審査委員による過半数の同意も必要となります。

6) 総会
定款や事業計画の変更、賦課金やその徴収方法の決定などについては、組合の最高意思決定機関である総会での議決が必要です。

総組合員の半数以上の出席が総会の開催要件となります。組合員は各1個の議決権を有し、議事は例外事項を除き、原則として出席者の議決権の過半数で決します。なお、可否同数の場合には議長の決するところによります。

7) 総会決議の例外事項
定款・事業計画の変更のうち重要な事項、施行再建マンションの規約設定、あるいは組合解散については、議決権及び持分割合の各4分の3以上の承認が必要です。

また、権利変換計画の決定およびその変更については、議決権及び持分割合の各5分の4以上の承認が必要です。

8) 組合の解散
設立認可の取消し、総会の議決(※ただし、権利変換日前に限る)、事業の完成または完成不能により解散できます。

9) 区分所有権等の売渡請求
建替えに参加しない区分所有者に対して、組合はその設立認可の日から2ヶ月以内の期間で時価で売渡すべきことを請求します。

10) 権利変換手続開始の登記
区分所有権等のほか、抵当権や賃借権などの法律関係をそのまま再建マンションに移行させる手続きです。組合は設立認可の公告があった時は、第三者に知らせるため、遅滞なく権利変換手続きの登記を申請する必要があります。

なお、権利変換を希望しない者は、設立公告があった時から30日以内に施行者に対して金銭の給付を希望する旨を申し出ることができます。

11) 権利変換計画の決定の条件
権利変換手続きを希望しない申し出期間の終了後、遅滞なく権利変換計画の決定が必要ですが、その条件は下記の4つです。

・議決権及び持分割合の各5分の4以上の賛成による総会決議
・施行マンションまたはその敷地に権利を有する者(賃借人等)の同意
・審査委員の過半数の同意
・都道府県知事等の認可

12) 売渡・買取の請求
権利変換計画の議決があった時、議決の日から2ヶ月以内に区分所有権等の時価での買取り(反対の組合員→組合)、もしくは売渡(組合→反対の組合員)の請求ができます。

13) 権利変換の実行
権利変換期日において、施行マンションの区分所有権や借家権を有していた者は、権利変換計画の定めにしたがって施行再建マンションについて新たにこれらの権利を取得します。

なお、建替組合等の施行者は、施行再建マンションの敷地につき、権利変換後の権利について必要な登記を申請する必要があります。

以上が、円滑化法で押さえるべき重要ポイントです。次ページでは、本テーマの過去問にチャレンジしてみましょう。