一緒に働く人には「自分の負けを自分で認める素直さ」を持ってほしい
最後にアスリートの就職支援だけでなく、企業の社長として最終面接官を務める薮崎氏に人材を採用する上で大切にしていることを聞いてみた。薮崎:一言で言うと「素直さ」ですね。素直さには色々あると思うんですが、私の場合は「自分の負けを自分で認められるか」がとても大切だと思っています。私がこうして結果的にビジネスの分野で経営者になれたのも、すべて自分の力不足だと認めることができたからだと思います。柏レイソルから戦力外通告を受けたのは怪我のせいでもなければ監督との相性でもありません。だから新しい道で次なる一歩を踏み出すことが出来たと思うんです。もしあの時に自分以外のせいにしていたら、きっと今でもチームやサッカーを恨んでいたと思いますし、そんな状態で頑張ることなんて出来なかったはず。だから、仕事でもスポーツでも失敗してもいいと思うのですが、負けを「自分の負け」として認めることが次へのステップになると思います。
小寺:では最後に就職活動をしている大学生に一言応援メッセージをお願いします。
薮崎氏はアスリートの就職支援も積極的に行っている
薮崎氏は一見野心溢れるベンチャー企業経営者のイメージであるが、私はインタビューをしながらグラウンドでボールを追いかける、純粋な「サッカー少年」の面影を垣間見た。それは元Jリーガーという経歴があるからではなく、夢を持ち、それが叶うものだと信じて地道な努力を仲間と共に楽しみながら続けている姿がそこにあったからである。本人は「プライドを捨てた」と言っていたが、それだけではないように感じた。つまり、プライドの置きどころをサッカーからビジネスに変えたのではないか。この「プライドの転換」ができるかどうかが、プロスポーツ選手のような何か1つの分野に注力して取り組んできた人が、他の分野でも成功できるかの鍵となっている気がする。