トミー・ウンゲラーは名プロデューサー?

小室哲哉やつんく♂、奥田民生など、音楽界には名プロデューサーがたくさんいます。彼らは、アーティストたちの才能を見出し、見事に開花させていますね。絵本の世界にも、登場人物たちに愉快な特技や思いがけない一面を付加してその魅力を倍増させる、名プロデューサーのような絵本作家がいます。フランス人絵本作家トミー・ウンゲラー(またはトミー・アンゲラー)もそんな作家の1人です。彼が主人公たちにどんな魅力を加えていったのか、まずはウンゲラーの代表作から見ていきましょう。

大悪党を慈善事業家に変身させた!『すてきな三にんぐみ』

絵本『すてきな三にんぐみ』の表紙画像

異形の大泥棒は、なぜ『すてきな三にんぐみ』と呼ばれたのでしょうか?

黒い帽子に黒マントをまとい、恐ろしい武器を持って人々を脅し、宝物を集めてまわる3人組の泥棒がおりました。この泥棒たちの恐ろしいこといったらオバケの比ではありません。ひとたび彼らに出会えば、人々は震えおののき一目散に逃げ出していくのでした。

ある日、その3人組がいつものように馬車を襲い、ひとりの女の子をさらってきました。みなしごのティファニーちゃんです。彼女に、奪った宝の使い道を尋ねられた3人組は、その質問に答えることができませんでした。そこで、3人で宝の使い道を真剣に相談した結果、とても素敵な企み(?)を思いつきます。さて、その企みは首尾よく成功するのでしょうか?

実は、3人の泥棒たちはなんと孤児救済に乗り出すのです。泣く子も黙る大泥棒たちの心の中に隠されていた小さな良心にフォーカスして、ウンゲラーはその良心を輝かせ、思いがけないストーリーを作り出しました。

その意表を突く展開には、当時の世の中に対する風刺もちょっぴり効いていて、読者には何とも愉快で幸せな気持ちが湧いてきます。暗い青を基調にした画面に、鮮やかな赤や黄色を浮かび上がらせる色づかいも美しく、当時のアメリカの児童書の書評誌『ホーンブック』でも絶賛されたということです。

リズミカルで読みやすい文章、いやでも膨らんでいく怖さとドキドキ感、そして楽しく幸せな気持ちになる結末と、読者を飽きさせない要素がたっぷり盛り込まれた作品は、遠い昔、我が家でも繰り返し読まれたロングセラーの絵本です。


【書籍データ】
書籍名:すてきな三にんぐみ
作:トミー・アンゲラー 訳:いまえよしとも
価格:1296円
出版社:偕成社
推奨年齢:4歳くらいから
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