企業の人材採用/募集・選考・採用のポイント

候補者にダマされない面接のコツとは(2ページ目)

採用面接時の印象と入社してからの様子が大きく異なる人物は意外と少なくない。小さなギャップであれば問題が顕在化することは少ないが、業務の遂行に大きな影響を与える資質やスキルを見誤ってしまうと看過できない問題に発展することもある。ここでは、新卒採用において「候補者にダマされずに見極める面接方法」について紹介する。

桐田 博史

執筆者:桐田 博史

戦略としての人材採用ガイド


質問内容を自社の状況に合わせてアレンジする

一方で、資質を確認する面接においては質問のフォーカスポイントがとても重要になる。「新卒採用で今すぐ使える面接官マニュアル」でも解説している通り、面接で確認すべき内容は、候補者の意見ではなく、“行動”や“経験”といった事実である。何かのことがらについて、「あなたはどう思いますか?」と尋ねても理想的な回答しか得られず正しい評価ができないが、「その時どういう行動を取りましたか?」「それはなぜですか?」と聞くと、候補者の行動特性が確認できる。

ただ、この時、“候補者の行動特性が自社の職場環境の下でも発揮しうるか”という再現性について正しく判断する必要がある。例えば、“新しいことに挑戦する際、いつも周囲の友人をうまく巻き込んできた”という行動特性は大変魅力的であるが、もし年配の社員が圧倒的に多い要員構成の会社であれば、この候補者が気後れし、強みである“巻き込む力”を存分に発揮しにくいことも予想される。したがって、この場合の面接では、“年長者と適切なコミュニケーションを取りながら賛同や協力を得た経験があるか”ということについても確認すべきなのである。

素晴らしい資質を持つ学生を採用したはずであるにもかかわらず、その能力が充分に発揮されずダマされたというケースを聞くことがあるが、その要因の一つに上記のような職場環境のアンマッチが挙げられる。もちろんこれは、候補者が意図的にダマしているケースではないが、相互の期待を裏切ることがないように、面接では候補者の資質と併せてそれが発揮できる環境を判断できるように質問を適切にアレンジすることが重要なのである。

候補者のモチベーションリソースを確認する

昨今の就職活動環境は非常に厳しくなっている。たとえ売り手市場と言われていても、百社近くの会社にエントリーをし、何十社もの選考を受けている学生も少なくない。日々、面接に明け暮れ、選考結果に一喜一憂するような状況で就職活動を進めていると心身ともに疲弊し、いつしか内定を獲得することがゴールになってしまうこともある。

このようにして就職活動を終えた学生の中には、内定後に次の目標を見いだせずに燃え尽き症候群となった状態で入社する人もいる。このような状態ではいくら高い能力やスキルがあってもその実力を発揮できずに過ごすことになる。こうした状況もまた、会社から見るとダマされたということになるため、面接においては、候補者が入社後の具体的な目標に向かって高いモチベーションを有しているということを確実に見極めることが重要である。

面接スキルを高めるために

ここまでで説明してきたことをまとめると、面接でダマされるという状況には二つの要因があることが分かる。一つは“候補者に対する理解不足”であり、もう一つは“自社に対する理解不足”である。

したがって、面接において的確な評価を行うためには、
  1. 自社の業務環境の特徴や仕事に求められる資質・スキルを理解したうえで適切な質問をアレンジする
  2. 候補者の資質・スキルを正確に見極めるために、従来の面接の発想にとらわれず最適な手法を導入する
という二つのことが大切になってくる。
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