オフシーンをアレンジする

どんな候補者でも面接では大なり小なり自分を飾って見せる。例えば、ものごとを大げさに表現して自分を大きく見せる“話を盛る”という行為や、普段とは異なるキャラクターで面接官と接する演技などはその常套手段だ。人生を大きく左右する面接という局面で候補者が自分を良く見せたいと思う心理は理解できるものの、会社としてはやはりそれらを見抜いて適切に評価する必要がある。

特に演技については、隠された素性が後々問題を引き起こすこともあるので慎重に判断すべきだが、形式的な質問をするだけの面接では候補者の本性を見抜くことは難しい。学生は、何冊もの面接マニュアルを熟読したり、大学のキャリアセンターで繰り返し面接トレーニングを積むなどして、卒のない受け答えができるように周到に対策しているからだ。

だからこそ、オフシーンをアレンジすることが必要になる。彼らが想定していない場面では本音が出やすいからだ。例えば、普段着での参加を義務付けた懇親会。同じく私服の若手社員がフランクな雰囲気で話かけていくと、時間が経過するにつれて彼らの飾りが徐々に取れてくる。また、面接後に複数の学生が談笑できる控室を用意することも効果的である。飲み物を進めながらたわいもない話を向けると、緊張から解放された学生が笑顔で談笑する普段の姿を見ることができる。

こうした場面での様子を評価の対象に加えることは正攻法でないように感じられるかもしれないが、候補者のあらゆる面を観察することが採用におけるミスマッチを防ぐという観点で考えると、学生にとっても企業にとっても非常に有効な方法であるといえる。
候補者を的確に見極める

候補者を的確に見極める


職種に合わせたスキルチェックを導入する

新卒採用において多用されている面接手法は次の三つである。
1) グループディスカッション
2) グループ面接
3) 個人面接

これらの面接では、いくつかの質問や課題を通して“行動力”や“論理的思考能力”、“チームワーク”などといった基本的な資質を測ることが多い。これらの資質は一般的な成長可能性を判断するには相応しいが、ポジションごとに求められる明確なスキル特性の有無を評価するには至らない。さらに、評価の観点が成長ポテンシャルに偏っていることが広く知れ渡っているため、多くの学生は自身のスキルをアピールせず、“成長を予感させる優等生”を志向する。結果、強みが明確で尖った人材の見極めが難しくなっている。

決して優等生的な人材を否定するわけではないが、入社後に求められることはそれぞれの職場で早期に強みを発揮することなので、結果的に“優秀そうだが成長が遅くどこか物足りない人材”という評価を下されることもしばしば見受けられる。優秀そうという雰囲気にダマされないためにも、配属予定先に求められるスキルを確認できる選考方法を加えることも大切な視点である。

例えば、一人で得意先を獲得するスタイルの営業職を採用する場合、グループディスカッションで協調性の高さを評価するより、人から好かれる柔軟な会話力や懐に飛び込んでいく話術などに評価の重点を置く方が理に適っている。そのための選考方法としては、例えば、3分間スピーチや、具体的な場面設定を行ったうえでのロールプレイなどが効果的である。

また、一つのことを論理的 且つ 地道に継続することが求められる研究職の場合、グループ面接で回答の的確性を相対比較するよりは、難易度の高いジグソーパズルを完成させたり、生卵を安定的に立てることにトライさせる方が現実的である。事実、倉敷中央病院の研修医採用試験では一粒の米と小さなネタで寿司を握る実技が導入されるなど、スキル特性を評価する面接が始まっている。