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東京バレエ団『ラ・バヤデール』リハ&会見レポート(4ページ目)

6月公演『ラ・バヤデール』の開幕を控えた東京バレエ団が、公開リハーサル&記者会見を開催。2009年の同団初演時より振付指導にあたるオルガ・エヴレイノフ、ニキヤ役を踊る上野水香、ソロル役を踊る柄本弾の3名が登場し、舞台への意気込みを語りました。ここでは、会見の模様をお届けします!

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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役を演じる上で今回新たに発見したことはありますか?

柄本>昨年のガラ公演のときは、影の王国だけを取り出して表現することの難しさ、お客さまに前後の物語を伝える難しさを身に染みて感じました。先生に“どこに行っちゃったの?”と言われるときも、一応僕なりにはいろいろ考えてやっていたんですけど(笑)、まだ役が身体に入っていないというか、身体からすぐに出て来ないことあって。自分の解釈というものが足りないんだと思います。僕は全幕でソロルを踊るのは初めてなので、まずはできるだけオルガ先生の教えに忠実に役を演じたい。その上で、自分の中でいろいろチャレンジしていけたらと思っています。

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photo : Shinji Hosono


上野>最初にニキヤを演じたときは、とにかく役についていろいろ考えました。ニキヤはとても激しい情熱を持っていて、普段は自分の中に秘めているけれど、それが時としてほとばしることがある。自分なりにニキヤの内面を理解して踊ってはいましたが、とにかく最初は踊り切るので精一杯という部分があって。けれど回を重ねるごとにニキヤの細かい動きに気を配れるようになり、また本当にこの作品はドラマティックなんだなということが少しずつわかってきた気がします。

影の王国の場面はクラシックバレエの原型を見せるというイメージがありますが、それは前後のお話があってはじめて影の王国の場面が成立することでもある。ガラ公演では、そこだけを取り出してお見せする難しさを感じました。ただオルガ先生は、いつも流れを切らないように指導してくださるんですよね。ストーリーの中の影の王国の位置付けをしっかり把握していればより細部がクリアになるし、ニキヤの強さももっと深いところで出てくるのではと思っています。

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photo : Shinji Hosono


オルガ>水香さんが言った通りだと思います。ピュアであることがニキヤを強くするんです。無垢であることが彼女を強いひとにしてくれている。もうひとつ大切なのは、ステップを踊るということですね。ステップを踏むのではなく、ステップで踊るんです。影の王国はバレエの基本形ではありますが、そこでもステップを踏むのではなくステップで踊る、ステップで表現することが必要なんです。

ガムザッティの場面も同様で、音楽性が非常に大切です。ただステップを踏んでいるだけでは退屈で眠くなる振付なんですね。おそらく楽器を演奏するのと同じだと思います。歌を歌う、動きで何かを語りかけるということ。音楽性を持ち、気持ちを込めて踊る必要がある。バレエ作品というのは沢山の側面を持つ球体です。テクニックの全てが重なり、全ての側面がきちんとできてはじめてひとつの作品になるのです。

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