5GHz帯のチャンネル
11acや11n/a(5GHz帯を利用する11n)および11aは、5GHz帯の周波数を使用する。利用可能なチャンネル数は現在19チャンネルとなっており、下図のようにチャンネル間の重なりがないことから、19チャンネルをすべて同時に使用できる。また、規格上以下のように分類されている。
- W52:36ch~48ch
- W53:52ch~64ch
- W56:100ch~140ch
5GHz帯で起こる電波の干渉
基本的に5GHz帯の場合は、19チャンネルを同時に利用できるので電波の干渉は起こりにくい。11n/aでは、帯域を束ねて使い高速化を図ることできる。理論的には最大9つの帯域まで可能だが、現在の製品では、2つの帯域を束ねて利用している。11acでは、理論的には最大8つの帯域まで束ねられるが、現在販売されている製品では、最大で4つとなっている。
さすがに4つの帯域というと干渉が起こりやすいように思えるが、そうでもない。というのは、まだまだ5GHz帯を利用するユーザが少ないし、5GHz帯を利用する機器が生活環境に少ないからだ。
さらに、5GHz帯の電波は直進性が高いため、障害物に弱く、遠くのアクセスポイントの影響を受けにくい。そのため、干渉を受けるアクセスポイントが限られてくる。これらの理由もあって、5GHz帯では電波の干渉が起こりにくいといえる。
なお、アクセスポイントと子機が11n/gと11n/aに対応している場合は、当然11n/aを利用すると電波の干渉を受けにくくなる。ただし、5GHz帯の電波は、障害物があると電波が減衰するので、「見通しのよい場所で利用する」という条件が付く。11n/gは電波が回り込むので、干渉には弱いが障害物には強い。どちらを取るかは状況次第だ。
5GHz帯のDFSとTPCについて
5GHz帯のW53とW56に割り当てられているチャンネルには、法律で気象レーダーや衛星通信との干渉を回避するDFSとTPCという機能が追加されている。DFS(DynamicFrequencySelection):干渉波を検出した場合に、その場で臨機応変にチャネルを変更する機能。チャンネルが変更される場合は、一時的に通信が途切れる。
TPC(TransmitPowerControl):干渉波を検出すると、そのチャンネルの無線の出力を低下させる機能。
とはいうものの、通常の生活環境であれば、経験上W53やW56のチャンネルを使っても、通信が途切れたり極端に感度が落ちたりすることはない。もし、5GHz帯でなにか不具合が起きた時に、「W52にチャンネルを変更し、様子を見るのも一つの方法」と捉えておけばよいだろう。