チャンネルとは
無線LANにおいてチャンネルとは、データ送受信の際に利用する周波数の幅のことを指す。データの送受信には、一組の無線LAN親機(アクセスポイント)と接続先の子機(PC、スマホなど)を利用するが、親機と子機は同じチャンネルを使用する必要がある。現在無線LANにおいて利用されているチャンネルは、2.4GHz帯と5GHz帯に定義されている。それでは、順に見ていこう。
2.4GHz帯のチャンネル
11n/g(2.4GHz帯を利用する11n)や11gは、2.4GHz帯の周波数を使用する。利用可能なチャンネルは、1~13chとなっている。なお、規格上はこの他に14chも存在するが、今ではほとんど利用されない旧規格の11bで、特定の端末のみで利用されていた程度に過ぎず、「現状では利用されていない」といっていいだろう。1~13chのチャンネルの幅は、それぞれ5MHzだ。ところが、11gでは左右2ch分を占有する。つまり、右に10MHz左に10MHzで合計20MHzの帯域幅を占有する。たとえば、3chであれば左右に1ch~3ch~5chと1~5chを占有することになる。
さらに、2.4GHz帯の通信では、チャンネル幅に余裕を持たせ、20MHzではなく22MHz間隔で無線LANの環境を設定するように推奨されている。このような状況なので、電波の干渉を起こさないように2.4GHz帯を利用するには、たとえば1ch/6ch/11chというように利用するチャンネルを割り振る必要がある(下図参照)。したがって、どのように割り振っても干渉なしで利用するには3ch分しか取れない。
2.4GHz帯の理想的なチャンネル割り当て
2.4GHz帯で起こる電波の干渉
2.4GHz帯を利用する11gは、利用するチャンネルの帯域幅が広いので電波の干渉を非常に受けやすい。現状、干渉を受けないチャンネルの配置になることは、まずない。実際には、以下のように∩状の周波数帯が重なる。この重なった部分で電波の干渉が起きている。さらに、深刻なのは11n/gだ。11n/gは、20MHzの帯域幅を2つ束ね、40MHzを同時に利用することで速度を向上させている。そのため、40MHzの帯域幅を干渉なしで利用するには、2ch/11chというように2つのチャンネルしか同時に利用できないことになる。さらに、11gとの干渉も頻発する。
そのため、速いはずの11n/gがかえって遅くなることもあるので、メーカーによっては11n/gの帯域幅の初期値を20MHzで出荷している。ユーザは、「自分の責任で帯域幅を40MHzに拡充し、様子を見る」ということになる。
また、2.4GHzの周波数は、電子レンジや医療機器などでも使用しているので、それらの機器が近隣にあれば、さらに電波の干渉を受けて速度が遅くなったり、通信が切れたりする。また、最近では無線のマウス/キーボードが普及している。これらの機器も2.4GHz帯を利用しているので、無線LANとの干渉は避けられない。Bluetoothを利用する機器も同じだ。
次のページは、5GHz帯のチャンネルについて解説する。