これまでも緑茶と抹茶、それぞれの機能性や魅力についてご紹介してきました。詳しくは、過去の記事をご覧ください。

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今回は、抹茶に豊富に含まれる注目の有効成分テアニンがどのように作られるのかを中心にご紹介します。

イライラ解消に役立つ  注目のテアニン

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目の覚める明るい緑が印象的な孫右ヱ門の抹茶
(画像提供/孫右ヱ門)

まず、過去の記事を読まれていない方のために、簡単にテアニンについて説明しておきましょう。

緑茶に含まれる有効成分といえばカテキンなどの研究報告が多いのですが、抹茶で注目されているのは「テアニン」が豊富なことです。抹茶に含まれるアミノ酸類は、グルタミン酸やアルギニンなど、10種類ほど含まれています。

その中で、他の植物には含まれない茶(他に同じツバキ科の椿や山茶花にも含まれる)特有のアミノ酸がテアニンで、アミノ酸全体の60%占めています。化学構造式がグルタミン酸と似ていますが、より上品な旨みと甘みがあります。

またテアニンは、グルタミン酸同様に脳関門を通過するため、副交感神経を活発化させ心拍を和らげるなどの報告があり、リラックスしたり、落ち着くことで集中できる効果があるのではないかと考えられています。

また他にも、冷え性改善、高齢者の軽度の認知症進行を軽減する可能性などにも期待が寄せられています。

抹茶として飲むことのメリット

古くから緑茶は、歴史の中で貴重な薬としても伝えられてきました。特に抹茶は他の緑茶と比べて、栄養面を見てもその言い伝えを裏付けるように、アミノ酸だけでなくカテキンやビタミンC、β-カロテン、ビタミンE、カフェインなど、様々な栄養成分が含まれています。

また抹茶に湯を加えて泡立てて(茶道では、流派により泡立てない場合もあります)飲むのが特長的です。というのは、玉露や煎茶などは、茶葉を湯で浸出させても、脂溶性のβ-カロテンやビタミンEは脂溶性なので湯に溶け出ません。抹茶の魅力は、おいしいだけでなく、抹茶に含まれる有効成分を無駄なく摂取できることにあるのです。

また煎茶に比べ、うまみの素となるアミノ酸の含有率は高く、逆に渋み成分のカテキン類が少ない、まろやかな味わいが特徴です。

碾茶(てんちゃ)栽培の"覆い"をすることでテアニンが増える

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光を遮るために寒冷紗で覆うことで、旨み成分のテアニンが新芽に蓄積されます。
(画像提供/孫右ヱ門)

なぜ抹茶は、他の緑茶よりもテアニンが増えるのかをご説明していきましょう。

抹茶は、粉末状に加工されていますが、加工される前の原料は碾茶(てんちゃ)と呼ばれます。もちろん茶葉であるのは、玉露や煎茶と同様です。

旨み成分のテアニンを初めとするアミノ酸類は、茶の根から吸収されて、新芽に移行し蓄積されます。緑茶の中でも、露地栽培される煎茶は日光を浴びてテアニンがカテキンに変化します。玉露や碾茶は、覆いをし、光をさえぎることでカテキンへの変化を抑制され、葉のテアニンの含有量が高くなり旨みが強くなるのです。

収穫される前に10日間以下被覆し揉んだものが「かぶせ茶」約20日間被覆し揉んだものが「玉露」、約30日間被覆し蒸して乾燥したものが「碾茶」になります。同じ被覆をしても、碾茶と玉露が異なるのは、碾茶は「揉まない」ということです。「碾」は、「ひいて細かくする」という意味です。

昔は碾茶を買って、使うときに石臼で挽いて抹茶として飲んでいたのですが、今では石臼で挽くか粉砕器で加工されて抹茶として製品化されて市場に出回ります。

つまり抹茶は、「被覆栽培」と、「揉まない」製法によってできる碾茶を粉末状に加工したもの(公益財団法人日本茶業中央会の定義)です。今では効率化などにより、手摘みではなくハサミ切りや機械刈りに、また一番茶だけでなく二番茶、秋番茶を使用されることもあり、これらは価格も安く、主に加工用抹茶や工業用抹茶、食品用抹茶などになります。

ちなみに、抹茶によく似た粉茶は、煎茶をつくる過程でできた粉状の部分を分別したもので、ティーバッグの原料などに使われたり、お寿司やさんで「あがり」として飲まれます。粉状なので成分が溶け出しやすいので、茶こしでサッと熱湯を通して淹れられます。