水出し煎茶,浸出,常温,健康,免疫機能,カテキン,EGC

水でじっくり淹れる水出し煎茶は、おいしく人気上昇中です。

暑い季節に人気高まる「水出し煎茶」

今どきは、嗜好飲料は茶に限らずいろいろとあり、ご家庭で急須を使って緑茶を淹れるという習慣も薄れつつあります。

番茶やほうじ茶などは、沸騰させた湯ですぐにいれられますが、煎茶や高級な玉露は、沸騰したお湯を一度適温の70度や60度など、茶に適した温度まで冷まして淹れるという手間がいります。

今は緑茶だけでも、ペットボトルで様々な種類がありますし、ましてや家族で集う時間も少ない現代のご家庭では、自分一人のために急須でいれるのは、茶殻の始末などが面倒だという人もいることでしょう。

しかし、近年「水出し煎茶」(あるいは「冷煎茶」ともよばれる)が、暑い季節にはさっぱりとおいしいということで、人気が高まっています。高い温度の湯で淹れると渋みが多くなり、低い温度の水で出すことで渋みや苦味が少なく、うま味が主に出るので、失敗がなくおいしくいただけます。

これからの時期は、水出し専用の茶葉やティーバッグの売出しにも力が入るようです。ガラスの冷茶ボトルなどもスタイリッシュなものや、フィルターがついている便利なボトルなどもあり、関連グッズも活況を呈しています。

健康分野で期待される緑茶の苦味・渋味成分のカテキン

では、今話題の水出し煎茶は健康維持・増進にどのように役立つのか、また通常の湯で淹れる場合とどのように異なるかをご紹介しましょう。

緑茶に含まれるカテキンは、苦味・渋味の成分ですが、一つの成分名ではなく総称です。エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECG)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCG)の4つが主体で、これらの異性体(エピ体)であるカテキン(C)、カテキンガレート(CG)ガロカテキン(GC)、ガロカテキンガレート(GCG)も少量含まれています。これらには、抗酸化作用など、様々な生理作用があるとみられています。

乾燥重量の緑茶葉には約10~18%のカテキン類が含まれ、カテキン類の約半数を占めるのがEGCG。茶葉中の含有量の多さは、EGCG>EGC>ECG>ECと見られています。

これまでに発表されてきた緑茶の機能性の研究は、海外のものも含めてほとんどEGCGについてでした。その機能性とは、例えば運動習慣を続けながら緑茶を毎日飲むと体脂肪を減らしやすくなる、コレステロール調節や、インフルエンザ予防、脳の老化防止などの可能性が示されています。(*中には、動物実験や、濃縮したEGCGを使用した結果のものもあり、EGCGの機能性についてもまだまだ検証が必要な段階です)

免疫機能のアクセル役 EGC

今回ご紹介する研究報告は、EGCGとは異なるEGCによる作用についてです。『緑茶通信』(vo.35)によると、野菜茶業研究所(島田市)によって、緑茶に含まれるEGCが体の免疫を活性化すること、特に水出し煎茶で効果的に作用する仕組みが解明されました。

今回は「免疫機能」をテーマにした研究で、これまで注目されていたEGCGは「抗炎症作用」など免疫抑制的、つまりアレルギーなどの免疫機能の暴走を抑えるブレーキの働きがあると考えられています。

一方EGCは、免疫細胞のマクロファージの働きを活性化することがわかってきました。マクロファージは、侵入してきた異物を食べて除去するだけでなく、食べた異物の情報を収集し経験値を積むことで、以後の異物侵入に対して迅速に反応できます。つまりEGCは、免疫の働きをよくする(アクセル)ことをサポートすると考えられます。

EGCGとEGCの割合がかなり重要なポイントで、同等の割合だと、ブレーキとアクセルが同時にかかり、その効果がわかりにくくなると推察されています。そしてEGCの割合が高いお茶によって、免疫機能のアクセルを踏む方が優位となるのではないかと考えられ、今後の検証に期待が寄せられています。

EGCの割合が高いお茶を淹れるためには、どうしたらよいのでしょう。 次のページでご紹介します。