自分の部屋でも勝手なリフォームはNGです。
また、新築より割安な中古マンションを購入して、入居前に大きく改装したいと考える方もいらっしゃいます。
こんな時、たとえ住戸内の工事でも、分譲マンションの場合は「管理規約」に則って進める必要があるので注意が必要です。
「管理規約」とは?
すべての分譲マンションの購入者(以下、区分所有者)は、管理組合に加入しなければなりません。そして管理組合には、住人共同の利益を守り、良好な住環境を確保するための規範・ルールとして管理規約が定められています。なお、管理規約は区分所有者だけでなく、同居する家族や賃借人も遵守するよう求められています。必ず一度は全体に目を通すようにしましょう。
管理規約には通常「専有部分の修繕等」という条文が定められており、リフォームを想定した手続きの方法について記載されています。
事前申請が必要な理由
専有部分である自分の部屋をリフォームする場合でも、管理組合に事前に工事の申請を行う必要があります。その理由は大きく2つあります。1) 共用部分への影響がないか確認するため
マンションには共用部分と専有部分がありますが、その正しい区分についてはあまり知られていません。
まず、部屋内の天井、床、および壁についても躯体部分は共用部分に該当します。また、意外かもしれませんが、窓枠や窓ガラス、網戸も共用部分です。
リフォームする場合、共用部分を区分所有者の意思で改変することは認められません。工事の範囲や内容が規約に違反していないか、管理組合がチェックするために事前申請が必要なのです。
2) 近隣住戸に周知するため
リフォーム工事を実施する場合、工事業者が共用部分を出入りしたり、作業に伴い騒音が発生するなど、近隣の居住者の生活に少なからず影響が出ることが予想されます。
工事の事前申請が承認された後、その申請書の写しが共用部に掲示されます。いつ、どの部屋でどんな工事が行われるかをあらかじめ周知することで、近隣からの苦情を未然に防ぐことができます。
リフォーム実施上の注意点とマナー
それでは、実際にリフォームをする場合に注意すべきポイント等をご紹介します。1) マンション独自のルールがないかを確認
各マンションの管理規約には、申請書の提出だけでなく、工事のやり方、工事に使う用材や色の指定まで決められていることもあります。
具体的な例では、指定業者以外の出入り禁止、水廻りの設備の移動禁止、配管の交換禁止などを定めている事例もあります。
その他、分電盤の容量やガス給湯器のサイズについてはあらかじめ上限が決められている場合も少なくありませんので、事前に管理規約に目を通すようにしてください。
2) 必要な書類等を揃えて申請書を提出
設計図、仕様書、工程表を添付のうえ、工事申請書(通常の場合、管理組合指定の書式があります。)を管理組合理事長に提出します。
この申請を行わなかったり、正式に承認が下りる前に工事を実施した場合には、管理組合から工事の差止めや原状回復の措置を求められることもあるので留意が必要です。
3) 近隣住戸への気配りも忘れずに
最後にマナーとしてのアドバイスですが、大掛かりなリフォームをする場合には、自分の両隣りと上・下階の住人に挨拶されることをお奨めします。
特に中古マンションを購入して入居前にリフォームする場合には、新たなコミュニティでの生活をスムーズに始められるよう、近隣住戸に対する気配りが大切です。
たとえば大きな家財道具の搬入や工事中の騒音によって迷惑をかけるかもしれない時は、おおよその時間帯を伝えておくと親切です。なお、その際相手が不在の場合に備えて、自分の連絡先も記したメモを準備しておくとよいでしょう。
マンションの専有住戸は、区分所有者の自由にリフォームできると思われがちです。しかし、実際の専有部分は一般的なイメージよりも狭いこと、そしてマンションは同じ住人との良好な関係を保つ配慮が必要な場であることを認識しておきましょう。