建売住宅を購入するときにはあまり問題ありませんが、中古一戸建て住宅や土地を購入するときに、敷地の境界をめぐって隣地所有者との間で争いが生じることもあります。その解決が長引くことで、売買契約の履行が困難になるケースもあるでしょう。

そのような事態を防ぐためには慎重に、かつスピーディーに境界確認の段取りを進めることが欠かせません。契約取引の中で敷地境界の確認をどのようにするべきなのか、主なポイントをまとめてみました。


敷地境界トラブルは売買のときに起きやすい

売主と隣地所有者との間で以前から敷地境界をめぐるトラブルがあれば、当然ながら売主はその内容を買主(になろうとしている者)に告げなければなりません。

しかし、これまでは何らトラブルがなかったのにも関わらず、敷地の売買をきっかけにして隠れていた問題が発覚することもあるため注意が必要です。

1つには隣地所有者が不満を持ちながら、これまでは黙っていたようなケースです。

「お隣さんとの間のことだから争いごとを起こしたくない」などと考えて黙認していたものの、売買されることを知って「この際、きちんと言っておかなきゃ!」と境界の問題、あるいは越境構造物の問題などを提起してくるのです。

さらに、売主と隣地所有者がどちらも問題の存在を知らないままこれまで過ごしてきて、売買契約に伴う境界確認作業のなかでお互いの認識の相違に気付く場合もあるでしょう。

このような問題が生じると、すぐに解決することは困難です。さまざまな資料を調べたり、新たに測量をやり直したりするほか、関係者同士の話し合いが長引くこともあります。

法務局による「筆界特定制度」に解決を委ねる場合や、状況によっては民事訴訟になることも考えておかなければなりません。

境界標識を確認する

すべての境界が明確になっていれば問題は生じにくいが……


敷地境界の確認は早めに実施するべき

土地や中古一戸建て住宅の売買契約では、敷地に関して「登記面積と実際の面積が相違しても売買代金を増減しない」という公簿売買のケースも多いのですが、その場合でもたいていは契約書のなかに「売主は、本物件引き渡しのときまでに隣地との境界を、買主に対して明示する」という条項があるはずです。

ところが、売買契約が終わり引き渡し時期が近付いてから現地で境界確認をするケースが少なくありません。それで問題が起きなければ予定どおりに進むのですが、この時点で境界問題が発覚することもあるのです。

売主も買主もすでにスケジュールを組んでいて、決済(残代金の支払いと引き渡し)の日程を延期することが難しいものの、それまでに境界問題を解決できる見込みもないということになり、トラブルがより大きくなってしまうでしょう。

買主の立場からみたとき、残代金を支払って物件の引き渡しを受けてからも敷地境界トラブルを引きずることは絶対に避けたいのですが、トラブルの存在を理由に契約の解除を申し入れることも容易ではありません。

そのような事態をできるかぎり防ぐためには、敷地境界の確認を売買契約の締結前に済ませておくこと、または契約が終わってからあまり日を空けず速やかに境界確認をすることが大切です。日程的に余裕があれば、いざ何らかの問題が生じた場合でも軌道修正をしやすくなるのです。

敷地境界のすべての点にしっかりとした境界標識(境界石、境界杭、境界標、境界ポイント)が埋設されていれば、現地で売主が指し示す場所を確認することで構いません。

しかし、そうでない場合(境界標識のない箇所がある、赤ペンキだけで不明確な箇所がある、境界標識があっても信頼できない箇所があるなど)には、できるかぎり隣地所有者にも立ち会ってもらうことが望ましいでしょう。

隣地所有者の立ち会いが必ずしも義務となっているわけではなく、なかなか都合が合わないケースも多いでしょうが、売主に対してしっかりと要望してみるべきです。もちろん、自分が日程を調整して相手側の都合に合わせることも大切です。

また、過去に作成された測量図に境界標識が1つだけ記載されているのに、現地をみると2つの異なる境界標識が少しずれて設置されていることもあります。このような場合もその意味や経緯を確認し、曖昧さを残さないようにしなければなりません。


敷地境界トラブルが起きにくい取引は?

敷地境界に関してそれほど慎重に考えなくても大丈夫な場合があります。その1つが敷地の実測売買を条件とするものです。

売買契約を締結した後に敷地の測量を実施し、その結果により売買代金を増減するものですが、その前提として隣地所有者の確認印を押した「確定測量図」が作成されます。

もし、その段階で隣地との間に境界問題が生じれば、売主はそれを解決する義務を伴うため、買主に損害が及ぶ可能性は低いでしょう。また、実測作業が契約の条件となっていれば、売主もたいていは余裕を持った日程で段取りを進めるのです。

また、売買契約自体は公簿売買でも、過去に実施した測量で作成された「確定測量図」が存在していれば、その時点で隣地所有者が確認印を押しているため、異議を申し立てられる可能性は低いでしょう。

売買や相続などで隣地所有者が代わっていても、原則的にその内容は引き継がれます。

さらに、かつて複数の区画で分譲された土地や建売住宅だった物件の場合も、問題が生じることは少ないでしょう。たいていの場合は敷地同士の間にきちんと境界標識などが埋め込まれ、それぞれの敷地所有者もそれを境界として認識しているはずです。

ただし、古い分譲地などで過去に何度か建て替えや新たな造成などが行なわれ、境界標識が不明確になっている場合もありますから一定の注意は欠かせません。


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