作業効率だけでなくインテリアにも影響するキッチンシンク
キッチンを検討する際には、レイアウトはもちろん、カウンタートップやシンク、コンロなどの機器を選び、プランニングを進めることになります。多くの方が取り入れるシステムキッチンでも、設定されたアイテムやパーツから、好みや予算に合わせて組み合わせていくことになるでしょう。さまざまなアイテムやパーツの中でも、シンクは、使い勝手を左右する重要なもののひとつ。最近では、対面キッチンやアイランドキッチンなど、リビングやダイニングとキッチンがひとつの空間にまとめられた間取りも多く、シンクはインテリアに影響するケースも。選ぶ際には、機能性はもとより、美しさを保つことができるように清掃性もチェックしておきたいポイントです。
キッチンの使い勝手だけでなくイメージも左右するシンク。[アレスタ] LIXIL
キッチンシンクの主な素材
キッチンのシンクには、いくつかの素材がありますが、一般的なシステムキッチンで多く設定されているのは、ステンレスや人工大理石でしょう。■ステンレス 耐熱性やメンテナンスが楽。表面加工でも変わる
耐久性や耐熱性があり、サビにくく、メンテナンスも楽なのが特徴。メーカーや商品によって使用する厚みなどもさまざまです。表面は、光沢のあるものや鏡面仕上げ、エンボス(凹凸のある模様)やヘアライン(髪のような細いライン)仕上げなど。加工を施すことで、傷も目立たず、金属特有の冷たい雰囲気を抑えることができるでしょう。継ぎ目のない、カウンタートップとシンクが一体になったタイプもみられます。
その他、水アカなどの汚れを、簡単に落とすことができる特殊な表面加工した商品、ステンレス表面に加工を施したタイプもあります。
■人工大理石 アクリル系とポリエステル系。カラ―バリエーションも
人工大理石は、大きく分けてアクリル系とポリエステル系に分けることができます。アクリル系は透明感があり衝撃性などに優れるもの。ポリエステル系はアクリル系より比較的安価なものが多くみられます。
メーカーや商品によって、価格はもちろん素材感や色合い、性能なども異なりますが、いずれも天然大理石のように柔らかく温かみがあり、カラーバリエーションも豊富。汚れも落ちやすく、簡単にお手入れすることができる素材です。カウンタートップとシンクの継ぎ目のないタイプもみられます。
■ほうろう(ホーロー) 独特の風合いが魅力
ほうろうには、鋼板ほうろうと鋳物ほうろうのふたつがあります。いずれも、ガラス質の釉薬を金属の表面に焼き付けたもの。ほうろう層の仕上げは、独特の滑らかな肌ざわり、美しい色合いを持ち、根強い人気があり、輸入品などにも多くみられるものです。
耐熱性や耐久性もあり、重厚な雰囲気を持つ素材ですが、グラスや皿などを落とすと破損しやすいこと、ほうろうが欠けた場合、そこからサビが生じてしまうケースもみられます。
風合いが魅力の鋳物ホーローのシンク。木製カウンターに合わせてナチュラルなキッチンに。[CEL518S シングルシンク] セラトレーディング
シンクの設置スタイルの種類
シンクの設置スタイルには、オーバーカウンター式、アンダーカウンター式、一体型など、いくつかの方法があります。オーバーカウンターは、カウンタートップに適するサイズの穴開け、上からシンクを落とし込み、シンクの縁をカウンタートップにひっかける方法。アンダーカウンターは、カウンタートップに開けた適するサイズの穴の下からシンクの縁を止めるなどして設置するものです。
システムキッチン商品でも、最近多くみられるのが、カウンターとシンクを一体型するなどして、継ぎ目をなくしたもの。すっきりとした印象と同時に、汚れが溜まりにくいのが特徴でしょう。
ネットを動かすことで、スペースにゆとりが生まれ、使い勝手もアップ。[ラクシーナ コパパシンク] パナソニック エコソリューションズ
主なスタイル形状とサイズの目安
シンクのスタイルは、一層式と二層式(大小2つに区分されたシンク。ダブルシンク)といった分類方法もありますし、サイズなどによって、ジャンボシンク、ミドルシンクなどというような名称で分けることもできます。サイズは、間口650~950mm程度。奥行きは、420~450mm(最大奥行き500~550mm)程度でしょう。深さは185~200mm程度のものが多くみられます。洗い桶と大きめの鍋などを並べておくことができる広さ(間口900mm程度)がジャンボシンクと呼ばれる大きさ。その他、間口が400mm程度の小ぶりなシンクは、パーティーシンクと呼ばれており、サブシンクとして利用するものです。
多くみられるのは、一層式で比較的大きめのタイプ。形状としては、一般的な長方形ばかりではなく、一部を奥まで広げた形やかまぼこ型のようなものも提案されています。
作業性を高めるために広さを確保、水切りなどの工夫も
2段のレーンとプレート、水切りカゴの組み合わせで、調理や後片付けが効率よく行えるように工夫されたシンク。[Wサポートシンク] LIXIL
また、まな板を置いての作業ができたり、水切りができる取り外し可能なプレート(ラック)を設置できるように工夫されたものも増えてきています。大きめのシンクに、ラックやプレートそのものが段差をつけて組み込まれているようなタイプもみられるようになりました。
その他、まな板や洗ったペットボトルの水切りができるパーツ、まな板や洗剤、スポンジなどの収納ラックを設けたタイプなど、細かな工夫を取り入れた商品も。さまざまなタイプがあるので、キッチン作業のスタイルに合わせて選ぶことが大切でしょう。
排水口の形状や素材の工夫でお手入れが楽に
お手入れのしやすさは、キッチン機器すべてに言えることですが、シンクの清掃性も高まってきています。素材そのもの工夫や形状、表面加工などによって、汚れにくく、掃除のしやすいシンクが提案されています。多くみられるのが、排水口の形状や設置位置などの工夫。排水口部分までシンクと一体構造とすることで溝がなく掃除がしやすくしたタイプやぬめりを防ぐ工夫が施されたもの、ゴミが集めやすく捨てやすいアミカゴなども提案されています。シンク内の水の流れで掃除も楽に
隅に配した排水溝に向かって一気に水が流れる。シンクがより広々使える。 [スクエアすべり台シンク] TOTO
静音設計などリビングやダイニングへの配慮も
キッチンがリビング・ダイニングと一体となった間取りも増えていることから、音に配慮されたシンクも。水の流れる音などに配慮した、静音設計のシンクも一般的になってきています。シンクを選ぶ際には、キッチン全体のプランニングを考慮することはもちろんですが、大きく影響するカウンタートップの素材や形状などを同時に検討することが大切です。もちろん、ショールームで実際の商品をチェックし、比較することは重要なポイント。普段の調理や片付けなどの動きをイメージしながら、使い勝手やお手入れのしやすさなど、しっかりと確認することをおすすめします。
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