保険会社によるサポートは示談交渉付でなくても受けられる。相談を
被害者との示談の際は保険会社に相談を
Hさん 簡単に言うと、被害者から見た時に、示談代行なしはお客様が窓口になる一方、示談代行付きは保険会社が窓口になるということです。とはいえ、示談代行なしだとお客さまが何から何までご自分で進めなくてはいけないということではありません。窓口はご自分でも、保険会社に相談をして、アドバイスを受けながら被害者との示談を進めていくことになります。被害者と加害者が話し合うとはいえ、たいていの場合は法律や保険をよく理解したうえで話し合いをするわけではありません。そこで相互に受け入れやすくなるような対応方法や法律知識をアドバイスをするのが保険会社の仕事です。
清水 なるほど、示談代行なしでもちゃんと保険会社と相談しながら進めていけるんですね。
Hさん 仮に示談代行ありの場合であっても、忘れてはならない大切なことは、法律上の責任を負っているのはお客様自身だということです。保険会社の役割は、お客様の負った責任を適切な金額のお金に換えて支払うことです。ですから、適切な金額のお金を支払い、円満に事故を解決するために、どんなことがあったのか、お客様から正確な情報を提供していただくことが前提です。「保険に入っているんだから後は任せたよ」ではなく、事実関係を共有して、一緒に解決に向けて進んでいかないと、円満な事故解決も難しくなるのです。
清水 「保険に入っているんだから」は何かありがちな気もしますが、事故の当事者なのですから、問題解決のために協力するのはいうまでもないことですよね。
Hさん お客様と保険会社が信頼関係の中でより良い解決を探っていくのが、この保険を上手に利用する上での基本です。
清水 1つ質問ですが、示談交渉なしではお客さま自身が窓口になります。でも1人じゃ心細いので弁護士の同行を頼みたいといった場合、それは可能ですか?
Hさん 保険会社が了承すればもちろん可能です。ただし、通常のやり取りでは解決できないようなケースとか、ワンクッション入れることで上手に解決を図れるような場合に限られます。むしろ、被害者の方に事前の説明もしないで、いきなり弁護士を訪問させたりすると、被害者側も構えてしまって、逆効果になりかねません。相手も弁護士を立てることになったりして、長引いてしまうケースもあります。
清水 「出るところに出れば」という態度は、むしろ事態をこじらせてしまうことがあると弁護士から聞いたことがあります。そういうことですね。
Hさん はい。保険に入っていれば、損害賠償金は負担してもらえますが、一旦起きてしまった事故が無くなるわけではないんです。保険会社の協力を得ながら、あくまでも問題は当事者間で解決しなくてはならないということです。
清水 ともすれば保険は「入ってさえいれば」となりがちです。医療保険ならそれでもいいのでしょうが、賠償保険はそうはいかないということですね。お金の問題は保険に転嫁できても、解決はあくまでも当事者間の問題。でも、その時は保険会社が力になってくれるからどんどん協力を求めるべき、ということですね。とても大切なお話を伺えたと思います。今日はどうもありがとうございました。
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