アカデミー賞受賞も納得の傑作『バードマン~』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年度作品)
かつて「バードマン」という作品でスター俳優になったものの、今は泣かず飛ばずの男優リーガン(マイケル・キートン)。彼は演劇界に挑戦すべく演出・主演作を上演しようとするけれど、舞台裏ではトラブル続きで、さあ、どうする?
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、元ヒーロー映画の俳優リーガンと共演者、家族、周囲の人間たちとのぶつかり合いを、ステージの裏の狭い廊下や衣裳部屋、そして楽屋を通して長回しで見せていきます。
時折現れる主人公の分身、かつて演じたヒーロー“バードマン”が、まぁネガティブな感情をささやくのですよ。そしてリーガンの心は揺れ、それに追い打ちをかけるように共演者や娘がキツイ言葉をあびせるわけです。「パパはもう忘れられた存在なのよ!」みたいな。
落ち目になった俳優というのは、こうやってもがき苦しみながらショービジネス界を生きていくのだろうなと。信じられるのは自分だけ。でもその自分も正解がわからない場合、精神は混乱を極めるわけで。そんな葛藤をマイケル・キートンは見事に体現していたと思います。
仕事に行き詰った人など、彼の気持ちがわかるかも。芸能界なんて遠い世界だと思うかもしれない。けど意外とリーガンに共感できる人、いるはずですよ。
2015年4月10日公開
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツほか
(c)2014 Twentieth Century Fox
>次はクラシックな映画で見る業界の舞台裏をどうぞ。