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ごほうびは逆効果?「ホンモノのやる気」の伸ばし方

【心理カウンセラーが解説】子どもに勉強やお手伝いをさせるために、「ごほうび」を与えることは有効な手段の一つ。でも与え方を間違えると、逆効果になってしまいます。「エンハンシング効果」「アンダーマイニング効果」という2つの心理効果を理解し、子どもの「ホンモノのやる気」を伸ばす上手なごほうびの与え方を実践していきましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

勉強しない子どもにやる気を出させる方法は?

ゲームをしている子供たち

やればできる子なのに、放っておくとゲームばかり。このままでいいのでしょうか?

子どもが自分で学ぶ楽しみを見つけ、自発的に勉強してくれたら、親には何も言うことはありません。しかし実際には、宿題は後回しのままゲームや漫画に夢中になって、ダラダラ……。こうした子どもの様子を見て、「このままでは、才能を開花できずに終わってしまうのではないかしら?」などとモヤモヤしている方が、多いのではないでしょうか?
 

人をやる気にさせる「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」

子どもに限らず、人がやる気を出すために必要な動機づけには、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」という2種類があります。

内発的動機づけとは、「この科目は面白い」「もっと知りたい、深めたい」というように、自分の中からわき出てくる興味や好奇心に動機づけられることを意味します。

一方の「外発的動機づけ」は、「100点満点を取って賞賛されたい」「一等賞を取って○○を買ってもらいたい」というように、賞賛やごほうびなどの外的な報酬によって意欲が駆り立てられる動機づけを意味します。どちらも大切な「やる気の素」です。
 

ごほうびで内発的動機づけを高める「エンハンシング効果」

親は、子どもが自ら、内発的動機づけによって学ぶ楽しさを見出してくれることを願うものです。とはいえ、本人任せにしていても、それはなかなか期待できません。特に、幼いほど楽しさを追い求め、面倒なことは回避したいという「快楽原則」が強いため、コツコツ学ぶ楽しさより、ゲームや漫画などのすぐに得られる面白い刺激に夢中になりやすいのです。快楽原則について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

そのため、特に子どもが幼いうちは、ごほうびをうまく活用しながら外発的動機づけによって学習に導いていくことも必要になるでしょう。はじめのうちは、ごほうびに惹かれて勉強に取り組むのかもしれません。しかし、そのうちに学ぶ楽しさに目覚め、内発的動機づけが高まっていくことは少なくありません。このように、外的な報酬を活用して、結果的に内発的動機づけを高めることを「エンハンシング効果」と呼びます。
 

ごほうびが内発的動機づけを低下させる「アンダーマイニング効果」

勉強する子供

子どもの頃は、学習を続けながらじっくりと内発的動機づけを高めていく時間が必要です


とはいえ、ごほうびばかりに頼っていると、いつの間にかやる気がしぼんでしまうこともあります。せっかく学習の楽しさを覚えて、何も言われなくてもやるようになってきたのに、外的な報酬を与えられることで外発的動機づけが優先され、内発的動機づけが高まらなくなってしまうことがあるからです。

たとえば、自発的に絵を描くようになってきた子が、「上手に描けるようになったね。100円あげるから似顔絵を描いて」などと言われて、おこづかいをもらうようになる。すると、いつしか絵は「お金目当て」で描くようになり、報酬がないと絵を描く気がなくなってしまう。

このように、外的な報酬を受けることで内発的動機づけが低下することを「アンダーマイニング効果」と呼びます。

子どもの学習は、自分の適性や興味の方向性を探り、将来の仕事や生きがいを見つけるために必要なものです。こうして学んだ知識や経験を蓄えていくと、いずれはそれらを活かして仕事をし、報酬を得ていくことができるようになります。しかし、子どもたちはまだ未成熟です。したがって、幅広い選択肢の中から自分に合う分野を選び、時間をかけて深めていくことが必要になります。そのためにも、子どもがなぜその分野に興味を惹かれ、学びたいと思うのか、子ども自身で理由を考え、学ぶ意味と向き合える時間をもつことが必要になります。

「ごほうび」は子どものやる気を左右する、とても影響力の強いアイテムです。ぜひ、上手に活用しながら、子どものやる気を効果的に伸ばしていきましょう。
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