盆栽の植え替え作業は3年に1度
盆栽の植え替えは3年に一度
更に放っておくと、水や新鮮な空気が用土に入り込めなくなり、盆栽がどんどん弱ってしまいます。最終的には「根腐れ」といって、元気な根が減り、枯れた根ばかりになってしまいます。すると地上部へ充分な水や養分を送れなくなり、枝がどんどん枯れて、盆栽としての形を維持できなくなります。こうした理由から用土を新しいものに替えて、古い根を切る「植替え」作業が必要になります。
今回は、植替えをじっくりと、多くの画像で紹介します。ぜひ、実践してみてくださいね。最初に紹介した不健康な根の状態を未然に防ぐために、少なくとも3年に一度は植替えをしましょう。
盆栽を植え替える「3つの目的」
1、新しい土に取り替える。2、古い根を切る。
3、鉢を取り換えて、盆栽の印象を変えることもできる。
盆栽の植え替えに適した時期は?
樹種によって差はありますが、大抵の植物はこれから紹介する季節に行って問題ありません。植替えは時期を誤らないことが大切です!
盆栽の植え替えは春に!
→春になり、新しい葉が出る直前の季節。染井吉野の桜が咲く前が適期。
盆栽の植え替え・作業手順
今回植替えするのはこちらの真柏(シンパク)の盆栽。樹齢8年生程度です。例えば、ご自分がこの盆栽を購入したとします。 購入して2年目の春には植替えしましょう。購入する前のお店でいつ植替えしたものか分かりませんので、購入した後、一番早い春に植替えをするのが理想です。この真柏も根を見るとご覧の通り。根が充満していました。 植替えをするのに必要な道具はこちら。左から、根切りバサミ、竹箸、コテ付ピンセット、やっとこ(盆栽用ペンチ)、1.2ミリの針金 長さ20センチ程度を1本、10センチ程度を1本です。 真柏の植替えに使う用土は植込み用土(左)が赤玉土極小粒、ゴロ土(右)が赤玉土小粒です。小さな盆栽は鉢が小さいので、土の粒も小さいものを選びましょう。 今回は元の鉢に再度植えます。盆栽は、木のサイズを維持したいので、基本的に鉢を大きくすることは、盆栽のサイズを大きくしたい場合のみです。写真のように、鉢を水洗いしてきれいにし、排水口の網を針金で固定します。はじめに用意しておいた長さ10センチ程度の針金を写真のように2つ輪があるように折り、排水口に差して網を固定しましょう。 5で通した網留めの針金は鉢の裏側で180度に折り曲げ、網と鉢を固定します。さらに、用意しておいた長い方の針金を鉢裏から通し、後で真柏の株自体と鉢を固定します。 根留めの針金は写真のように鉢の縁にかけておきます。 ゴロ土を鉢底に鉢の深さの5分の1程度敷きます。 その上から植込み用土を同じく深さの5分の1程度敷きます。合計で深さの5分の2程度です。 根をほぐす前に真柏についている苔をはがし、再利用します。苔の色が悪い場合は再利用しません。 根をほぐしますが、その際は根鉢の底面の角の部分から箸を入れ、からまった髪の毛をとかすようにほぐしていきます。 根がほぐれ、太く長い根の先に細かい根がついている状態でした。 株元に全体の根の分量の3分の1程度が残っていれば問題ありませんので、長い根の先は根切りバサミで切りましょう。 このように根をすっきりと短くしました。こうして長い根の先を切って、新しい根が伸び出る余白を作ることはとても大切です。 元の鉢に根を整理した真柏を戻します。根を切ったことで鉢と根鉢の間に隙間ができ、新しい用土を入れる余地が生まれました。 鉢と根鉢の間に植込み用土を竹箸ですき込んでいきます。この時土の入れ方が不十分ですと植え替え後2週間程度で盆栽が弱ってきます。しっかりと根を張れずに、最悪の場合は枯れる原因になりますので、目には見えませんが細かな根と根の間にも土の粒が入るよう箸で万遍なく土の粒を入れましょう。 土が入ったら根留めの針金を両端から引っ張って交差させ、針金同士できつくねじります。この時にやっとこという盆栽用のペンチで隙間が無いようにきつくねじります。余った針金の先は切っておきましょう。 根留めの針金が固定されたら、水をたっぷりやります。植替え時は排水口から出る水が泥水ですので、この水が完全な透明になるまでたっぷりと水をやりましょう。水をやったらピンセットのコテの部分(平らな部分)で土を平にならし整えます。 仕上げに最初にはがしておいた色の良い苔をはります。苔は用土にのせるだけでなく、苔の端を用土に軽く差し込むように押さえましょう。苔は上から押しても痛みません。 苔も張って植替えもされ、心機一転。すっきりした盆栽の姿です。目には見えませんが、これから新しい根(若く活力のある根)の発根が促され、それに伴って地上部も新しい葉を次々に出すでしょう。
以上のような植替え作業を3年に1度は行って、いつまでも元気な盆栽の健康を保ちましょうね。
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