盆栽/盆栽の育て方の基本

盆栽の肥料の与え方・肥料の種類による違いや特徴【基本の育て方】

盆栽への一般的な施肥方法の基本をご紹介します。盆栽は鉢の用土内の養分も不足しがちです。春の生長期(新芽が展開してかたくなった時期から梅雨入りまで)と秋の成熟期(秋の彼岸頃から落葉前まで)に油かす等の肥料をやって不足しがちな栄養素を補います。

山田 香織

執筆者:山田 香織

盆栽ガイド

<目次>
 

盆栽で不足しがちな三大栄養素

盆栽の肥料の与え方・肥料の種類による違いや特徴

盆栽の基本の育て方

まず盆栽で補いたい栄養素は、他の園芸植物でも不足しがちな三大栄養素を主にします。

・チッ素:別名葉肥(ハゴエ)とも言い、葉や茎の生長を助ける栄養素。
・リン酸:別名花肥(ハナゴエ)実肥(ミゴエ)とも言い、開花結実を助ける栄養素。
・カリ:別名根肥(ネゴエ)とも言い、根の生育を助ける栄養素。

となり、葉姿が観賞の主になる松柏類はチッ素分の比率が高い肥料をやり、花や実が観賞の主になる花もの・実もの類はリン酸分の比率が高い肥料をやります。

肥料の容器や袋の裏面にはチッ素(N):リン酸(P):カリ(K)が5:6:3のような比率を表示する形で記載されています。

このような場合は、肥料100グラムに対してチッ素が5グラム含まれています、という意味です。
 

液体肥料と固形肥料の違いと特徴

盆栽への肥料の与え方

用土の上に置く「置き肥」

肥料の種類は大きく分けて、水に溶かして薄めて用いる「液体肥料」と、表土にのせて置き肥をする「固形肥料」に分けられます。

液体肥料は、根がすぐに栄養分を吸収できる無機の状態になっている化学合成肥料が一般的で、即効性があります。

固形肥料は、同じく化学合成肥料もありますし、油粕や骨粉などを原料とする有機肥料も一般的です。

有機肥料は、水やりの際に土中に染み出た有機養分を微生物が無機物に分解した後に根から吸収しますので、ゆっくり効き目が出てくる緩効性(遅効性ともいう)となります。
 

盆栽園で使われている肥料は油かす等の有機の固形肥料

我々盆栽を専門とする園では、古くから有機肥料を使ってきました。また、即効性のある液体肥料の場合は、希釈倍率を濃い方に誤ると、すぐに根が肥料負けを起こして痛み、盆栽そのものを痛めてしまうので、より安全な有期の固形肥料を使っています。
 

有機固形肥料の施肥方法

大きな盆栽には複数の置き肥

大きな盆栽には複数の置き肥

固形肥料は盆栽の用土の上に直接置きます。大きな盆栽には大きな粒の肥料をやりますが、肥料や木の種類、木の太さ、大きさ、鉢の大きさによって数量は異なりますので、肥料のパッケージに記載のある施肥の用量の指示を確認しましょう。

参考までに、直径約9センチの3号鉢程度の鉢の大きさでしたら、親指の爪大の有機肥料の場合は松柏用の肥料で2粒、花・実もの用の肥料で3粒程度が目安となります。

ただし、あくまで葉の緑色が濃い元気な盆栽にのみ肥料はやれます。風邪をひいて食欲が無い時、ステーキを食べられないのと同じで、弱っている盆栽の根には刺激が強すぎるのです。
肥料ケースに入れた肥料

肥料ケースに入れた肥料

また、盆栽の鉢が小さい場合には、肥料の粒を収められるプラスチック製の肥料ケースに入れてのせると、水やりや風で肥料の粒が転がり落ちるのを防げます。
見た目が損なわれることもありませんので、ぜひおすすめします。

置き肥した有機肥料の粒は1か月程度で効果が薄れるものが多いので、用法を確認し、効き目が切れる頃には新しい粒と交換しましょう。

肥料をやることで盆栽の成長はぐんと変わります。日ごろから肥料をやっている方も用法を確認し、より充実した樹づくりにつなげてください。

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