企業経営のノウハウ

社内留学など……社内がいきいき活性化するユニークな制度ベスト4

多くの企業で社内活性化のために、さまざまな取り組みがなされています。社内活性化とは、会話がされることがベースです。具体的にどうすればいいのでしょうか。社内留学など、ユニークな社内活性化の実例を紹介していきましょう。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

オフィスを活性化させるユニークな事例

社内留学など、ユニークな制度ベスト4

社内留学など、ユニークな制度ベスト4

社内活性化。多くの企業でその実現に向けて、さまざまな取り組みがなされています。社内活性化とは、具体的には社員間で「会話」をさせることとなります。その会話も、お互いを知り合うことで初めて成り立ちます。それだけではまだまだです。次に、知り合った人同士が会話できる場を仕掛けることが必要となります。コピー機のスペースや休憩室のように偶発的な出会いの場を作る方法もありますし、管理部門が強制的に会話の場を作るという方法もあります。とはいえ、実際どのようにすればいいのか頭を悩ませるところ……。今回は社内活性化にあたってユニークな取り組みを実践している企業の例を4つ紹介します。
 
<目次>
 

1.敢えて混乱を巻き起こす。社内短期留学制度

異なる部署で、お互いに刺激し合う

異なる部署で、お互いに刺激し合う

ある企業が行っている事例、その名も「社内短期留学制度」。所属部署とは異なる部署で、ある期間その部署の仕事を体験するという制度です。他の仕事を体験することで、視野を広げるという目的、また短期(3か月から半年程度)とは言え、留学した先での人脈作りが可能となります。

留学先から戻ってきても、その人脈は生き続けますから、何かあれば気軽に頼ることができるようになります。情報交換もされることでしょう。留学した人が「ハブ」となり、両部署の潤滑油としての活躍も見込めます。

さらに、留学生の年次にもよりますが、一定期間、本籍部署からメンバーが抜けることになりますから、その部署として人手が足りなくなります。その分を他のメンバーでカバーしなければならないので、業務の効率化、改善が見込めます。リーダークラスが留学してしまったら、さらに工夫をしないと乗り切れません。

一方、受け入れる部署は、全くの初心者が入ってきますから、戦力として活躍してもらうには、仕事の意味や目的を伝えなければなりません。その際、自らの仕事を見つめ直すきっかけとなるかもしれません。また、リーダークラスが留学生としてやってきた場合は、その方の経験もあり、従来型の業務について、いろいろと良い意味での指摘や改善提案も期待できます。

留学する方も、受け入れる側も、さらに送り出す側にも多くの刺激があるこの制度、多少の混乱はあるものの、人脈作りに付け加えて、両部署に、業務改善という刺激を与えることが可能となります。
 

2.晴れの舞台を仕掛ける。社員講師による勉強会

社内大学という名称で運営している企業が多数あります。外部から専門家を招聘して勉強会や研修を開催するのではなく、社員を講師役とするのです。それも業務に関する勉強会のみならず、業務外についても同様に行います。

まずは業務系の勉強会。業務に関する専門知識を有する講師役に社員を任命。任命された社員は、必死になって勉強会の資料作り、プレゼンの練習を行います。それによる自身の成長の機会になります。

勉強会を社内に告知することで、自社にこのような専門家が存在するのだ、というPRになります。また勉強会に参加して社員は、勉強になるとともに、素晴らしい社内人脈を作ることができます。困ったらこの人に連絡しよう、そのようにしてこれから会話するきっかけ、知り合う場を提供することになります。

では、業務外の勉強会とはどのようなものでしょうか。例えば、プライベートで「ヨガ」を行っており、相応の知識がある。「写真」撮影が趣味で、その腕前がプロ級。そのようなプライベートで専門家顔負けの社員がいるはずです。そのような社員に、課外活動的に講師役を頼み、希望者を募って勉強会を行うのです。

参加者は当然、さまざまな部署から集まってくるはずですから、参加した者同士の知り合うきっかけを提供することができます。お互い自己紹介などするはずですから、仕事上での結び付きの可能性もあります。

講師役としては、晴れの舞台で活躍できますし、その場に参加した者同士の会話の場の提供、そして、講師役との人脈づくり、参加者同士の人脈作りに寄与することができます。自らが興味のあることですから、積極的に知り合い、会話をすることが期待できます。
 

3.リサーチ活動が知り合う機会に。プレゼント交換会

プレゼントを選ぶための事前ヒアリングが会話のきっかけとなる

プレゼントを選ぶための事前ヒアリングが会話のきっかけとなる

あるアパレル会社の事例です。合ったことの無い社員同士がペアを組み、お互いにプレゼントを贈るという制度です。相手にいかに喜んでもらうかを考える上で、相手のことをより深く知るきっかけが提供されます。

総務部が事務局となり、毎月、接点のない社員同士の組合せを作り 、双方にその相手を連絡します。月一回行われる全体会でプレゼントの贈呈は行われます。ですから、連絡を受けた社員は、プレゼントを贈る相手の喜ぶ顔、全体会の参加者の驚く顔のために、必死になってリサーチを行います。

相手本人には聞けませんから、その本人が所属する部署のメンバーや上司、同期社員に本人の趣味嗜好をヒアリングします。いままで接点のない人の所属する部署ですから、その部署の他メンバーともほとんど接点がない場合が多いでしょう。自己紹介から始めて、いろいろなメンバーと話をする機会の場ともなります。

プレゼント交換当日。お互いが初めてその場で会話をしますが、ヒアリングした他のメンバーよりも、お互いのことを知り合った仲ですから、その結びつきは深いものとなります。一気に距離が縮まり、双方の部署の「ハブ」、潤滑油としての役割が期待されるでしょう。

このようなプレゼント交換を繰り返すことで、そのヒアリング段階からさまざまな部署に出入りするきっかけともなり、やがて、ほとんどの部署の人と話すことになる結果となります。このように、会話のきっかけをどのように提供するかが、重要なのです。
 

4.会話のきっかけをサイネージで。誕生日、人物紹介を掲載

いくら人の出会いがあったとしても、糸口がないとなかなか会話は始まりません。それを現代版の壁新聞であるデジタルサイネージで提供する取り組みです。ある企業では、当該月の誕生日の社員をサイネージ上で紹介します。それを見た社員が、その該当者と出会えば、「誕生日おめでとう!」というところから会話を始めることができます。

ある企業では、人物紹介を掲載しています。所属部署から、業務での得意分野、趣味や好きな食べ物といったプライベート情報まで掲載します。あるスパンで紹介する社員を入れ替え、多くの社員を紹介していきます。これにより、気軽に声がかけられるきっかけを提供するのです。

社内報を創刊するお手伝いをする際、事前アンケートを取ることがあります。社内報で何が知りたいかというアンケートです。ほとんどの企業で、どこにどんな社員がいるかを知りたい、という要望が上位にきます。それくらい社員情報へのニーズは高いものです。

人物事典、社員名鑑を作成する企業も多いようです。その事典を見ながら電話をしたり、初めて会う際の事前情報を仕入れるのです。それも、円滑なコミュニケーションができるようにするためです。

このように、まずは知ることからコミュニケーションは始まります。サイネージではなくとも、自社にある社内メディアにおいて社員を紹介する。これがなによりも社内活性化には必要なことなのです。

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