古代から栽培されてきたカルチョーフィ
昨今、日本でもしばしば見かけるようになった不思議な野菜アーティチョーク。日本語だと、朝鮮アザミ?アーティチョークの方が、よく知られているかもしれませんね。さて、このアーティチョークは、地中海沿岸で古くから栽培されている野菜。イタリアでは「カルチョーフィ Carciofi (単数形ならカルチョーフォ Carciofo)」と呼ばれます。
古代ギリシャ時代や古代ローマ時代には、す でに食用でもあったカルチョーフィ。イタリアでの栽培は、南の島シチリア島から始まり、中世頃に全土に広まっていったと言われています。数千年にも及ぶ長い年月もの間、愛され、作り続けられてきた野菜だけに、その品種のバリエーションも豊富。イタリアでも、各地でさまざまな品種のカルチョ―フィが栽培されています。
日本でもよく知られているのは、ローマのロマネスコでしょうか。「カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ」や「カルチョーフィ・アッラ・ジュディア」などは、ガイドブックでもローマで食べるべき郷土料理などとして紹介されています。
絶品品種!カルチョーフィ・スピノージ・ディ・メンフィ
さて、本家本元(?)のシチリアのカルチョーフィ事情はいかがでしょうか?シチリア特産の品種はいくつもありますが、中でも今、特に注目が高まっているのが「カルチョーフィ・スピノージ・ディ・メンフィ」という品種。スピノージは「トゲトゲの」を意味しますが、実際、可食部分である花びらの先に鋭いトゲがあります。そのトゲは、素手で触ると「痛っ!」となるほど の鋭さ。扱いが難しく、栽培を避ける生産者が増え、近年絶滅の危機にありました。が、ここ数年、難題も続く伝統的なカルチョーフィ農家の働きで復活を遂げ、スローフード協会にも認定され話題となっています。
カルチョーフィ独特のエグミは柔らか目。 繊細な味わいと早春の野山を思わせる爽やかな香りが特徴のカルチョーフィで、シチリアではオイル漬け、パテ…煮たり焼いたり揚げたり。さまざまな料理で楽しまれています。特に、炭火焼が美味!
一度は体験したい炭火焼!オイル漬けはお土産にもおススメ
「カルチョーフィ・スピノージ・ディ・メンフィ」は、まず、トゲの部分を切り落とすところから、調理が始まります。最も美味しい食べ方である「炭火焼」では、トゲを落とした花びらの間に、レモンやニンニク、オレガノなどを詰めて、炭火の中に直接埋め込みます。しっかり火が通ったら、焦げた部分をはがし、一枚一枚花びらの部分を外して、可食部分をパクリ。そんな風にして食べる、かなりワイルドな料理(?)ですが、一度食べると癖になる美味しさ!パスクア(復活祭)翌日のパスクエッタなど、春のイベントごとには欠かせない1品でもあります。
旬は晩秋から春の終わりまで。炭火焼はなかなか体験ができないかもしれませんが、レストランやトラットリアでカルチョーフィの文字を見つけたら、ぜひ体験してみて下さい。オイル漬けやパテは、お土産にもおススメですよ!