絵本/日本人絵本作家

日本児童文学界のパイオニア・松谷みよ子の絵本と童話(2ページ目)

書店に並ぶ絵本の中には、わずかな期間で読み捨てられていく作品があるのも事実です。ところが、松谷みよ子さんの作品には半世紀以上も読み継がれているものがたくさんあります。今回はそんな松谷さんの代表作をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

たくさんの子どもたちが松谷さんの絵本とともに大きくなった

松谷さんの赤ちゃん絵本は、「あかちゃんのわらべうた」・「あかちゃんの本」・「あかちゃんのむかしむかし」・「あかちゃんのおいしい本」の4つのシリーズに大別されます。ここにもまた民話や各地に伝わるわらべ歌をモチーフにした作品がたくさん並び、どの作品からも母親のように赤ちゃんを見つめる温かなまなざしが感じられます。

ガイドは、これらの作品とその発行部数を見るたびに、どれほど多くの子どもたちが松谷さんの作品に触れながら大きくなったのだろうと想像し、驚きとともに作品への感謝の気持ちがわいてきます。今回は、松谷さんの数ある赤ちゃん絵本の中から、日本初の赤ちゃん絵本といわれる『いないいないばあ』と可愛い昔話絵本『にんじんさんがあかいわけ』の2冊をご紹介します。

0歳児のための日本初の絵本『いないいないばあ』

『いないいないばあ』の表紙画像

この本を見た赤ちゃんは、こちらが驚くほど喜ぶのですから不思議です

ガイドは、「赤ちゃんが初めて出会う絵本は、赤ちゃんが喜ぶだけでなく大人も読んでいて楽しい絵本であることが大切」と思っています。『いないいないばあ』はその条件にピッタリな赤ちゃん絵本の1つです。赤ちゃんが大好きな遊びがそのまま絵本になった作品は、赤ちゃんとどんな風に遊んでいいかわからないというお父さん・お母さんにもおすすめです。

ページを開くたびにこぼれる赤ちゃんの笑顔や笑い声に、読み手のお母さんやお父さんの顔にも笑顔が広がります。絵本から生まれるこの幸せな時間は、子育ての苦労も一瞬で吹き飛ばしてくれる魔法のような時間。そんな時間を届けてくれることが、1967年の発売以来、時代を超えて愛され続けてきたこの絵本の1番の魅力なのだと思います。

※『いないいないばあ』については「0歳の赤ちゃんに人気の絵本ランキング」でもご紹介しています。合わせてご覧ください。

【書籍DATA】
松谷みよ子:作 瀬川康男:絵
価格:756円
出版社:童心社
推奨年齢:0歳から
購入はこちらから

昔話で知る『にんじんさんがあかいわけ』

『にんじんさんがあかいわけ』の表紙画像

タオル片手にお風呂へ向かう野菜たちが、なんともかわいい絵本です

松谷さんは、本当に昔話に魅了されていたのでしょう。「あかちゃんのむかしむかし」という幼児のための楽しい昔話絵本シリーズを出されています。『にんじんさんがあかいわけ』は、そのシリーズの中でも特に愛らしい絵が印象的で、子どもたちが初めて出会う昔話絵本としてとても人気があります。

ごぼうとにんじんと大根、お馴染みの野菜トリオがどうしてそれぞれあのような色をしているのか……それには誰もが納得の(?)理由があったのです。「ヒントはお風呂?!」って言ってしまうと、察しの良い方なら想像がついてしまうかもしれませんね。

昔話特有のちょっぴり教訓めいたお話も、これほど愛らしく表情豊かな野菜たちが主人公なら楽しく読めること間違いなし。なにより、のんびり優しい語り口の文章がとても良いですね。このお話に限っては、早口で読もうとしても絶対無理だと思います。「むかしむかし」で始まり「とっぴんぱらりのぷう」で終わるかわいい昔話は、読んで楽しく聞いて心地よい作品です。

【書籍DATA】
松谷みよ子:文 ひらやまえいぞう:絵
価格:864円
出版社:童心社
推奨年齢:1歳くらいから
購入はこちらから 


>> 最後は、様々な社会問題をテーマにした作品をご紹介します
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