日本児童文学界のトップを走りつづけた作家・松谷みよ子さん
いま世の中には数えきれないほどたくさんの絵本や児童書が氾濫し、残念なことに読み捨てられていく作品も多い中で、松谷さんの作品には50年60年という長きにわたって愛読されているものがたくさんあります。常に日本児童文学界のトップを走りつづけた松谷みよ子さんの作品を、そのテーマから3つに大別しそれぞれの代表作やおすすめの絵本をご紹介します。まずは、松谷さんの代名詞ともいえる民話・昔話に関連した作品からご覧ください。
国際アンデルセン賞優良賞受賞『龍の子太郎』
松谷みよ子さんの出世作となった名作『龍の子太郎』は、信州の民話を下敷きに日本の民話を再創造したといわれる物語です。その『龍の子太郎』を松谷みよ子さん自身が編集し、画家の朝倉摂さんの絵を得て刊行されたのが絵本『たつのこたろう』でした。お話は、龍になった母親から生まれた心優しい男の子が、様々な冒険を通して自分が何のために生きているのかを知り、世の中の人々を助けると同時に母親を人間に戻すまでを描いた成長物語です。天狗や鬼、雷といった民話のレギュラーメンバー(?)が登場するハラハラ・ドキドキの物語には、民話の面白さがこれでもかというほど詰まっていて最後まで読む者の心を捉えて離しません。
ただガイドは、龍の子太郎のお話の魅力をめいっぱい味わっていただくには、絵本版ではなく童話の『龍の子太郎』をおすすめしたいと思います。絵本ではページ数などの制限があるからでしょうか、お話が駆け足で語られている印象が否めません。国際アンデルセン賞優良賞ほか数々の賞に輝き傑作の誉れ高い作品ですから、ぜひその原作に触れていただきたいと思うのです。
【龍の子太郎 書籍DATA】
松谷みよ子:作 田代三善:絵
価格:1512円
出版社:講談社
推奨年齢:小学校低学年から
購入はこちらから
>> 次は、日本初の赤ちゃん絵本と言われるロングセラー絵本をご紹介します