足の本来あるべき姿
足にとって自然なのはどちらでしょうか
足には骨が左右それぞれ約26個あり、全身で約206個なので、比率で考えれば骨が多い部位といえます。骨が多いということは関節が多いわけですから、よく動くということです。そのため、足は凸凹な地面にも対応できる柔らかさが特徴となっています。
しかし、柔らかいだけですと地面を蹴ることができません。ですから、力を伝えるために硬くなることもできます。これが足裏のアーチ(土踏まず)です。アーチが上がっている状態は骨同士が近づいて圧迫されており、関節の遊びがない状態となるため硬くなるのです。このように、足は柔らかくなったり硬くなったりと、臨機応変に対応することができます。
アーチが存在する動物はヒトのみです。また、足の親指が他の指と並んで位置しているのも、類人猿から見るとヒトの進化の結果です。親指だけあからさまに大きく、かつ親指の筋肉は、体の中で筋線維が一番太いといわれています。それだけ重要な部位であるということです。
足と靴の不都合な事実
さて、このように足の特徴を見てくると、靴の利点と欠点との天秤が必要だとわかります。つまり靴は役にも立つけど、足の機能の邪魔もしかねないということです。例えば、クッション性の高い靴の方がそうでない靴よりも怪我が多い、裸足はランニングシューズよりも障害が少ない、さらには小学校で靴をやめて裸足にするとすべての子どもの扁平足が改善した、などの報告も見られます。
古の日本をふりかえると、武士もほとんどが草鞋(わらじ)でした。甲冑に草鞋の姿は少し滑稽ですが、刀を使って戦う陸上戦では裸足に近い方が機能的であったということです。下駄もありますが、あれは雨の時に泥湿地状態なところから足を守る役割だったといわれています。
靴の役割は足を守るため、また装飾としての意味合い、足にはない機能の付与などがありますが、どれも用途が重要です。ファッションだけの基準で用いると、足の本来の機能を阻害し、機能障害を引き起こしてしまいます。
本来は裸足!これは揺るぎないヒトの自然な姿です。地面がアスファルトで硬くなった分、クッション機能はある程度必要でしょうし、天候によっても足を守る必要はあるでしょう。しかし大事なことは、足の機能をできるだけ低下させない靴選びをすることです。次ページで解説していきましょう。