企業の人材採用

後ろ倒しの採用活動解禁、中小企業はどう対応すべき?(2ページ目)

3月1日より採用活動が解禁となりましたが、多くの企業では実質的な採用選考が進んでいます。経団連の倫理憲章(採用選考ルール)が2016年卒の採用から変更になったものの、実際には有名無実化しているようです。これから採用活動に本腰を入れていこうという企業の対応方法について解説します。

本田 和盛

執筆者:本田 和盛

企業の人材採用ガイド

内定者を活用して採用者を増やす

内定者の活用も採用では重要

内定者の活用も採用では重要

これから短期決戦で採用活動が進みますが、内定、内々定を出した学生に対しては、積極的に友達を紹介してもらうとよいでしょう。採用した学生に自社のファンになってもらえれば、同じような志向を持った学生を芋ずる式に採用できる可能性も出てきます。また内定を出した学生に他社に逃げられるリスクも小さくなります。

さらに内々定・内定を出した学生のうち、結果的に他社に就職が決まった者に対しても、それで終わりとしないで、数年間は引続きフォローすることをお勧めします。というのも、他社に就職した学生であっても、将来的に自社に転職してくれる可能性があるからです。人材獲得競争は新卒採用で終了するわけではありません。他社で経験を積み、即戦力として育った学生を、中途採用で迎えることは中堅・中小企業にとって、むしろ好ましいことです。

私の周りにも、いったん就職はしたが、自分が考えていた会社ではなかったと悶々と悩んでいる新卒者がいます。それだけ企業と学生とのマッチングは難しいのです。就活サイトに掲載されている経営者のメッセージや、先輩社員のインタビュー記事はどこの企業も魅力的です。会社説明会や面接で登場する社員も、外向けの綺麗な話しかしないので、企業の内情とは異なる場合が多々あります。これからは新卒採用で逃した人材を、数年後に中途採用で獲得するという方法も一考に値します

中堅・中小企業の採用も工夫次第

2015年卒のデータ(リクルートワークス研究所調査)ですが、大卒求人倍率(求人総数÷民間企業就職希望者数、大卒と大学院卒が対象)は、従業員300人未満の中小企業で4.52倍であるのに対し、5000人以上の大企業では0.55倍と大きな開きがあります。

このように企業規模が小さくなるほど、求人よりも就職を希望する求職者が少なくなり、需要と供給のミスマッチが大きくなります。これは学生ができるだけ大きな企業に就職したいと考えるからです。中堅・中小企業としては、学生の大手志向を前提として、どのようにして自社に目を向けてもらえるかに腐心する必要があります。

中堅・中小企業が大手志向の学生を自社に振り向けさせるには、企業理念など企業としての価値(バリュー)だけをアピールしても効果はありません。具体的な仕事の内容や価値を訴求しないと関心を持たれません。

よく大企業は安定しているから、学生は大手志向なのだと言われますが、それだけではないと思います。大手だからこそ、自分のやりたい仕事ができる、大手だからこそ、社会に影響力を与えることができる、大手だからこそ、優秀な先輩から刺激を受けることができる、と考えている学生が実は多いのではないでしょうか。

そうすると、大手に就職するよりも自社に就職する方が学生の夢を実現することができる点を、狙いを定めた学生に熱く語り、納得させることができれば、大手企業でなくとも優秀な人材の採用は可能です。

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