採用活動が解禁されたが、すでに選考は中盤に
3月1日から2016年学卒者の採用活動が解禁となりました。報道によると、各地で企業の合同説明会等の就活イベントが開催され、多数の学生が詰めかけ活況を呈しているということです。しかし一部の経団連加盟企業以外の企業では、実質的な採用活動はスタートしています。スタートしているどころか、すでに内々定や実質的な内定を出し、学生の囲い込みに入っている企業さえあります。優秀な人材を確保したいのはどの企業も同じ。他社に先駆けて、あれこれ手を打っています。1年次からアルバイトやインターンシップ等を利用して、これぞという学生に声をかけている企業もあります。新卒市場は、景気回復を受けて売り手市場となってきており、少子化による若年人口の減少トレンドと相まって、人材獲得競争は熾烈な状況になっています。
企業の採用活動は、従来は経団連の倫理憲章で、会社説明会などの解禁が3年次の12月、採用選考の解禁が4年次の4月となっていました。それが、就職活動ではなく学業に専念する期間を長くすべきであるという安倍首相の要請を受け、2016年卒向けの採用活動から会社説明会などの広報活動が3月、面接などの選考活動は8月、内定は10月にそれぞれ解禁となるようルールが変更となりました。しかし経団連加盟企業以外は、上記のルールに拘束されることはなく、また経団連加盟企業であってもルール違反に対する罰則が無いことから、3月1日以前から会社説明会を開き、実質的な選考を始めている企業もあります。
振り返ると、2016年卒の就職支援サイト(以下、就活サイト)への登録がスタートしたのは昨年6月1日で、実質的な採用活動がスタートしたのがこの時期でした。その後、企業はインターンシップなどを開催し、外資系企業では10月時点で内々定を出したところもありました。大学当局(就職課、キャリアセンター)や就活サイトでも、3月以前から学生に対して、実質的な採用活動は始まっている旨の情報を出していました。
名目上は3月から採用活動がスタートしたことにはなっていますが、インターンシップや会社説明会などで実質的な選考は行われており、すでに採用選考は中盤に差し掛かっていると言っても過言ではないと思います。そもそも面接などの選考活動の解禁が8月で、内定が10月となると、就職活動ができる期間が2ヶ月しかないことになり、学生にとっても現実的ではありません。
逆求人サイトを使って採用活動の遅れを取り戻す
逆求人サイトの運営や逆求人イベントを開催している人材紹介会社も増えています。逆求人サイトとは、学生が自身のプロフィールをウエブサイトに登録して、興味を持ってくれた企業からのアプローチを待つというものです。学生にとっては就職活動の効率化が図れ、企業側にとっても自社が求めるエッジの効いた学生を発掘することができ、採用のミスマッチを減らすことができます。逆求人イベントとは、学生自身がイベント会場にブースを設営し、訪れた企業の採用担当者に自身を売り込むというものです。通常の就活イベントでは、企業がブースを設営し、ブースを訪れた学生に自社の説明を行いますが、その逆です。逆求人イベントは、建設業界などの業界別や、IT技術者などの職種別に開催される他、難関大学の学生に限定したものまで様々です。
逆求人イベントは学生の参加者が限定されるので、比較的優秀な学生に出会うことができます。また逆求人イベントを開催している人材紹介会社では、学生に対して自己アピールなどのプレゼンスキルを伝授するなど、マッチングがうまく図れるようにサポートをしています。
これから採用活動を本格化させていこうという企業であれば、逆求人サイトなどの利用を検討してみるのも1つの手でしょう。大手の就活サイトに登録して、幅広く学生からの応募を待つという受身の対応では、他企業とのつばぜり合いの中で勝ち残ることはできません。特定の学生に狙いをつけて自ら積極的に勧誘するという姿勢が、学生に好印象を与え、良い結果をもたらします。