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笠井叡『今晩は荒れ模様』インタビュー!(3ページ目)

日本舞踏界の重鎮・笠井叡さんが、この春待望の最新作『今晩は荒れ模様』を発表! キャストには、上村なおか、黒田育世、白河直子、寺田みさこ、森下真樹、山田せつ子と、6名の女性ダンサーがズラリ集結。個性もジャンルも違える彼女たちと、笠井さんの異色のタッグに注目が集まります。ここでは、創作にあたる笠井さんにインタビュー。作品の経緯とそこに寄せる想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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タイトル『今晩は荒れ模様』の由来とは?

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(C) TOKIKO FURUTA

笠井>詩人の白石かずこさんが1960年代にお書きになった本のタイトルから来ています。白石さんはフェミニストで、女性の解放だとか、女性の自由について日本社会の中で頑張っていた。今回の作品も全体的にそういう気分があって、女性に着目しています。

 
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(C) TOKIKO FURUTA

今世紀の近代舞踊を始めたアメリカのダンサー、イサドラ・ダンカンが “女性の中の最も自由な魂に宿る最高の知性”といった意味の言葉を遺しています。女性というのは身体そのものが自由でなければいけない、自由であり存在自体が知性なんだと。男性はどちらかというと勉強したり、知識としていろいろ学ぼうとしますよね。そうした外側から得た知性に対して、女性はその存在自体が知性であるという。

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(C) TOKIKO FURUTA

身体の持っている存在自体の知性だとか、存在自体が持っている精神性もそうだし、本当に自由なものが出てるかというと、私はまだ全然出てないのではないかと思っていて。女性の存在自体にある一番深い部分は、ひょっとしたらまだ出切っていないのではないかと感じているんです。

 
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(C) TOKIKO FURUTA

自由とは好きなことをやるという意味ではなくて、外側からつくられた全ての決まりごとから完全に自由な身体。それを出せるのは、やはり詩人やダンサーだと思う。自由というと一見振付より即興の方がいいように思えるけれど、即興だと自分に捕らわれてしまう。即興ではなく振付作品というのが、やはりひとつのポイントだと思います。

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(C) TOKIKO FURUTA

作品のテーマは何かというと、女性ということになる。男性って女性のことを全然わかってないですよ。女性は理解されていると思ったら大間違い。私は男だからわかりますが、男性は女性のことを全然わかってない。男性は戦争をするけれど、女性はまず本質的に戦争はしないし、戦争なんか望んでない。戦争をやった歴史は男性がつくっていますよね。戦争で解決させるのは男性のやり方で、女性はもっと繋がりを大事にしていく。女性には戦争なんかに頼らずに地球の文化をつくることができるはず。
それを男性はまだ知らない気がします。

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(C) TOKIKO FURUTA

やっぱり女性の方が存在として優れてるんだと私は思う。第一に、女性は常に満たされてる。けれど男性は常に欠乏していて、戦争をしては奪ってきたりする。女性は生命を生み出すものだから、存在性として優れてる。戦争なんかしなくても、もっともっと繋がっていく方法を知っている。

 
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(C) TOKIKO FURUTA

例えば女性は、二時間でも三時間でも電話でくだらない話をしますよね (笑)。これってすごいことだと思います。ああだこうだと延々と話をして、しかも相手の話もちゃんと聞く。女性の話って直接的じゃないから、周りから始まって、この話は一体どこに行くの? ということも多い。男性は“何が言いたいの?”って、結論を急いでしまう。私も長電話になるとすぐイライラしてしまいますからよくわかる(笑)。政治家にしても、国際電話で5分、10分話しただけで大事なことを決めてしまう。

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(C) TOKIKO FURUTA

男性はすぐ原理原則で自由主義とか民主主義なんて言い出すけれど、主義でぶつかってもダメ。女性は小さな繋がりを丁寧につくることができると思う。もちろん男性には男性の良さがありますが、女性の持っている力を理解していくことが、これからの課題なのではないかと私は思います。そういう意味でも、今回は女性たちを観て欲しいんです。

 

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(C) TOKIKO FURUTA


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